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管理栄養士 吉野綾美

ミルクの国の食だより

第41回 2月2日はクレープの日 その2

コラム、「ミルクの国の食だより」の第41回をお送りします。

前回に続き、フランスのクレープの日の話題です。2月2日がクレープの日になったわけをご紹介。

ラ・シャンドロール(ろうそく祝別)とは?

クリスマス(冬至)から数えて40日目にあたる2月2日は、La Chandeleur(ラ・シャンドロール)と呼ばれるキリスト教の祝日のひとつ(といっても、休みではありません)。

聖母マリアが出産後の清めの儀式を受け、キリストが神の子として初めて教会に現れ祝福を受けたことにちなんだお祝いの日です。聖母マリアが「お宮参り」をした日とでもいいましょうか。

Chandeleurはラテン語のcandela(ろうそく)が由来の言葉。シャンデリアも同じ語源で、もともとロウソクを立てる燭台を意味します。
日本語ではこの日を「聖燭節(ろうそく祝別)」と訳されています。

なぜろうそくなのか?は、「世界の光」となるキリストを祝して、人々が光り輝くろうそくを手に行列したとか、マリアのお潔めの儀式中にろうそくを灯し続けて見守ったためなど諸説あるようです。

■シャンドロールに向けたスーパーの広告

太陽を想像させるクレープ

そしてクレープとの関係は?というと、この日は冬の終わりを告げ、春に向けて農耕作業を開始する時期でもあります。農民は最初の種まきの後、前年に余った穀物を粉にしてその年のを豊作願ってクレープを焼いた、という民族的な風習がもともとありました。

そこから、丸くて黄金色をしたクレープは太陽を想像させ、長い冬の後の春の到来(豊穣)を意味するのと、やはり「世界の光」であるイエスに、光(太陽)と同じ形・色をしたクレープを捧げたことによるもののようです。

このような古代からの風習、宗教の儀式が入り交じって、今日のラ・シャンドロール(聖燭節)となっていきました。
現在では宗教的な意味は薄れ 、一般家庭の行事として「クレープを食べる日」という習慣だけが残っています。

フランス人になぜこの日にクレープを食べるのかと質問しても正確に答えられる人は残念ながら少なそうです。 

■ クレープ商戦の牛乳、卵、砂糖など、クレープ作りの材料がこの時期は安売りに。スーパーの販売戦略であっても、季節を感じられるイベントは楽しいもの

 

 ■ そのまま食べられるクレープ生地も売られています


節分の豆まきと似ている?

なんだか日本の節分と似ていますね。

節分の豆まきも、季節の変わり目の厄払いの豆打と、新しい年の豊作を祈願する豆まきなど、豆にまつわる様々な信仰が混在して今の形になっているといわれています。
残念なことに、単に鬼に豆をぶつける大衆のイベントとして認識されていることも少なくないとか。。。

時代の流れで変わるものは多くありますが、長く根付いている風習には歴史があり、深く掘り下げていくと、その国や土地独特の考えや知恵が垣間見えてきて興味深いです。

日本では豆、フランスではクレープと、食文化の違いはありますが、家族そろって食べると、寒く厳しい冬が遠のき、春の訪れをすぐそこに感じる日でもあります。

■ 焼き模様ががちりめん布地に似ていることからそう呼ばれるようになったクレープ。太陽を連想させる色形から、古の人々は春の到来に祈りを込めたという


■こちらは砂糖にレモン汁をかけただけのクレープ。シンプルな食べ方がフランス流


 

2017年2月21日

管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。

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