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管理栄養士 吉野綾美

ミルクの国の食だより

第45回 フランスのバター その2 発酵バターはどれか

コラム、「ミルクの国の食だより」の第45回をお送りします。

前回に続き、フランスのバターについてお伝えします。日本では高級なイメージがある発酵バター。さてフランスの発酵バターとは?

3つの規格すべてが発酵バター

 さて、「ヨーロッパでは発酵バターが主流」とよく言われますが、フランスで区分されるBeurre cru(クリュ)、Beurre extra-fin(エクストラ・ファン)、Beurre fin(ファン)の3種類の中で、どれが発酵バターなのでしょうか。
パッケージには発酵、非発酵の表示はありません。

正解はどれも発酵バター。

発酵食品ならではの爽やかな酸味。フランスをはじめヨーロッパでは発酵バターが好まれるというのは本当です。
ちなみに海を隔ててお隣の国、イギリスでは非発酵の甘性バターが好まれるそう。

■ 250gが一般的なサイズだが、125g、500gもある。パッケージは遮光性のあるペーパーで包まれたものが主だが、プラスチック容器もある


こちらはBeurre cru(クリュ)の製品例。”熟成無殺菌クリーム仕立て”と書かれている。”doux”は塩を添加していないという意味。購入価格は250g、2.5ユーロ


少し見にくいが原材料にはCrème de lait non pasteurisée(無殺菌乳のクリーム), ferments lactiques(乳酸菌)とある。また、日付は「à consommer jusqu'au...(…までが消費期限)」が表示されている

バターの製法

 フランスでバターの製法は大きく分けて2つあります。

 伝統的な製法としては、まず原料である生乳をクリームと脱脂乳に分け、そのクリームに乳酸菌を加えて発酵させ、撹拌して作られます。
Beurre cru(クリュ)Beurre extra-fin(エクストラ・ファン)がこの製法で作られています。

 機械のない時代、撹拌は手作業で時間をかけて行われていたため、その間に自然と発酵が進んだともいわれています。数は少ないですが、農場製のバターは今でも手作業で作られています。

 もう一つ、バターに乳酸菌を加えて発酵させるという方法があります。
Beurre fin(ファン)がこれにあたります。
大量生産に向き、伝統的な製法に比べると安価。現在のフランスでは9割のバターがこの近代的な製法で作られています。

こちらはBeurre extra-fin(エクストラ・ファン)の製品例。beurre mouléは成型バターという意味。購入価格は250g、1.9ユーロ


日付は「À consommer de préférence avant le...(…前までが賞味期限)」と表示されている。原材料にはフランス産殺菌乳のクリーム、乳酸菌とある


3つの規格それぞれに食塩「あり」と「なし」が存在

 なんとなくですが、加熱殺菌をしていないクリームを原料に使う Beurre cru(クリュ)が美味しい気がしてスーパーで売られているのを買って食べてみましたが、残念ながら好みの味ではありませんでした。
酸味が強めで少しくせのある感じが私の好みなのですが、このとき食べてみたバターはミルクの風味があってクリーミーな味わい。これはこれで美味しいのですが・・・

 製法の違いや乳酸菌の種類によって味わいに違いが生まれます。しかし、味について個人の好みは千差万別。フランスのバターであっても、どの製法がより美味しいとは一概にいえません。

 また、Beurre cru(クリュ)、Beurre extra-fin(エクストラ・ファン)、Beurre fin(ファン)、それぞれに食塩を加えていないものと加えたものが存在し、味の選択はさらに広がります。

Beurre fin(ファン)の製品一例。 ”cru”、”extra-fin”は差別化のために表示されているが、”fin” は、表示されていることが少ないので消費者にはわかり難い。購入価格は125g、1ユーロ(250gでは1.9ユーロ)

 
原材料にはEU産殺菌乳のクリーム、乳酸菌とある

※このテーマは次号に続きます。お楽しみに。


2017年6月23日

管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。

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