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3年間のフィールドワークが明かす中学・高校生の「食」と「健康」

MILK通信II ほわいと(2002年秋号より)

ダイエット、ファストフード、コンビニ-
現代の中学・高校生の食生活は年々変化し、健康を阻害しているのでは……という心配をよく耳にします。そんななか、中学・高校生を対象に、3年間にわたって実施した食と健康に関する実態調査。
調査項目は身体計測ほか血液検査や体脂肪率、骨量測定など多岐にわたり、調査対象者数6000名にも上る大規模なものでした。その結果、牛乳が身体に与える効果が再確認され、新たな事実が明らかになってきました。

カルシウム不足など偏った食生活の実態

調査概要
目的 中学・高校生を対象に食生活を中心としたライフスタイルと身体状況の関係を検討する。この研究を通して、この世代のエネルギーおよび栄養素摂取、特に牛乳摂取の重要性、および身体活動の重要性が、データに基づいた形で再確認されることが期待される。
調査期間 平成11年から3年間
調査対象地域 東京、埼玉、茨城、長野
調査対象人数 中学・高校生男女約6000名
調査項目 牛乳摂取を中心に食物摂取頻度調査、日常生活に関するアンケート、身体計測、骨量計測、血清コレステロール値測定など。

  まずは、食生活の実態を見てみましょう。調査結果では朝食の欠食が目立ちます。「ほとんど食べない」と回答している生徒が、中学1年生で3%程度だったのが、その後しだいに増え、高校生になると10%程度になります。
  ダイエットに関する質問には、中学生女子で約20%、高校生女子で約40%が「ダイエットしたことがある」あるいは「現在している」と答えています。調査対象の中学・高校生の場合、過激なケースは少なかったようですが、「主食を抜く」という明らかに誤った方法が一時的に流行したことも判明しました。
  ファストフード利用は地域差がありますが、全体では中学生で約70%、高校生で約80%程度が「利用している」と答えています。
  これらの食生活の実態を踏まえ、具体的な食事調査を行いました。結論からいうと、エネルギーの摂取量はほぼ適切ですが、中身が少し偏っているという結果が出ました。たんぱく質や脂質は過剰摂取傾向、一方炭水化物の摂取量が不足気味です。またカルシウムは1日に200~300mg不足、そして女子においては鉄分も不足しています。全体として栄養素密度(食品100kcal当たりの各種栄養素の量)が低い食事を摂っている人が多いことが見てとれます。
  カルシウム摂取を詳しく見てみると、中学では給食のある学校では、給食がない学校に比べ、カルシウム摂取量が多くなっています。これは給食で牛乳を飲む飲まないがカルシウム摂取に大きく影響しているといってよいと思います。
  学校給食がない高校生になると、男子は約60%が1日に1本(200ml)以上の牛乳を飲んでいますが、女子ではその比率は20~30%程度になり、30~40%の生徒が「ほとんど飲まない」と答えています。飲まない理由をたずねたところ、「匂いと味がいやだ」「おなかが痛くなる」などのほか、「太るから」という答えが見受けられました。

 


「隠れ肥満」「貧血予備軍」などの存在が明らかに!

  身体計測では、身長・体重からBMI(体格指数のこと)を算出すると同時に、体脂肪率も測定しました。双方の数値から肥満傾向者を検討してみると、BMIで肥満と判定される基準を超えた生徒に比べ、体脂肪率で肥満と判定される基準を上回った生徒の数が(特に女子に)多いことが分かりました。いわゆる「隠れ肥満」-身長と体重から判断するとスリムだが筋肉が少なく脂肪が多い-が相当数存在しているのです。
  血液検査のコレステロール値を見てみましょう。コレステロール高値基準の220mg/dl以上(成人の参考値)の生徒が、中学1年で男女とも4%程度いましたが、これが高校生になると、男子は少し下がり、女子は増えていき、差が開きます。しかし、悪玉コレステロール(LDL-C)に関しては、顕著な差は見受けられませんでした。
  このほか、血液検査でヘモグロビン、フェリチン(貯蔵鉄の指標)の値を測定してみると、高校生の女子の10人に1人が貧血であり、半数近くが貧血予備軍であるという結果が出ました。  さらに骨量の調査では、男子は高校1~2年、女子は中学2年ぐらいで成人の骨量に達するという結果が得られました。この結果から骨が大きく成長する重要な時期は、男子が中学生、女子が小学校の高学年あたりではないかと推測されます。
  また、骨量と直接の関連性は見られませんでしたが、骨折について驚くべき調査結果が見られました。「生まれてから今までに骨折したことがありますか?」の質問に対して、中学生男子22.9%、女子17.5%、高校生男子31.6%、女子20.3%が「ある」と答えたのです。骨折経験者と未経験者の骨量に差はなく、また牛乳摂取状況にも差はみられませんでした。骨折の原因については、推測の域を出ませんが、「身のこなしが下手」といった別の要因が考えられます。

「牛乳は体脂肪率を下げる」可能性が今回の調査でも示された

  今までに紹介した身体状況と、牛乳の関係を見てみましょう。
  まず牛乳の摂取状況を (1)毎日400ml以上、(2)200~400ml、(3)100~200ml、(4)100ml未満、(5)ほとんど飲まない、の5つのグループに分けて検討しました。
 まず、身長・体重については各グループに差がなく、したがってBMIも変わりません。「牛乳を飲んでも太らない」ことがこれでも分かります。注目すべきは体脂肪率。グラフでは僅差に見えますが、統計的な処理を行ってみると、牛乳を多く飲んでいるグループの方が体脂肪率は低いという結果が出たのです。特に女子に顕著に表れています。この結果は、牛乳には体脂肪率を下げる働きがあるという可能性を示しています。
  実は昨年、アメリカの学者から同様の可能性を示唆するレポートが日本で発表されましたが、それを裏づける結果になったのです。ただそのメカニズムなどについては充分に解析されていないので、今後の研究成果を待たなければなりません。
いずれにしろ、「牛乳を飲むと太る」という説は誤りであることが実証されたのです。また「牛乳摂取でコレステロール値が上がる」に関しても、牛乳摂取量別にグループ化して、数値を検討した結果、なんの因果関係も見出せませんでした。
  同じように「牛乳を飲むと鉄の吸収を阻害し、貧血を起こしやすい」に関しても、牛乳摂取とは、なんら関係ないということが実証されました。
 一方、男女とも牛乳をたくさん飲むと骨量が増えるという結果が出ています。骨量は運動をするほうがより増えるということが分かっていますので、牛乳などによるカルシウム摂取と運動を合わせ行うことが成長期の中学・高校生には大切なのです。
  「隠れ肥満」「貧血予備軍」などの存在も明らかになった今、中学・高校生の食生活の改善が急務。そのためにはカルシウムをはじめ多くの栄養素を含んだ牛乳摂取を健康的食生活のバロメーターとして、積極的に取り込んでいくことが重要ではないでしょうか。

2002年10月1日

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