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牛乳・野菜・魚カルシウムの吸収率の比較試験−ウェルネスレポート−

MILK通信II ほわいと(1996年夏号より)

カルシウムは今も日本人に不足する唯一の栄養素です。骨や歯を作るなど、その大切な働きは知られていますが、カルシウムは食事からとった分すべてが吸収されるわけではありません。吸収されにくい栄養素でもあるので、より有効にカルシウムをとるにはどういった食品がよいかに関心をもつ人がふえてきました。
 食品別のカルシウム吸収率について、日本では1953年に兼松氏によって行われた比較試験の結果、牛乳カルシウムの吸収率が50%と最も高く、ついで小魚の骨が30%、野菜17%といわれてきました。
 今回、1994年から1995年にかけて、全国牛乳普及協会が改めてより正確を期して調べた結果、9名の平均で、牛乳40%、小魚33%、野菜19%という数値を得ました。牛乳はやはり小魚や野菜にくらべ、より有効にカルシウムを吸収できることが確認されました。

〔方 法〕

 19才~29才までの健康な女性9名が対象。食事からとったカルシウム量と、便として排出したカルシウム量の差を測り、体内に吸収された量を計算しています。
   試験計画は図1に示すように、一試験期間が7日間。まず初めの3日間はカルシウムを1日当り200mg含む基本食をとり、続く4日間、試験食として基本食とともに、カルシウムを400mgに調整した添加食をとります。添加食は3種頸。カルシウムは表1のように(1)牛乳 (2)小魚 (3)野菜からのみとれる献立になっています。一人の対象者が3期にわけて3種の試験食をすべて試みました(順序はランダム)。
   試験期間中、便と尿は毎日全量採取し、早朝に体重を測定。各期の早朝空腹時には血液中のカルシウム関連のデータ(血清カルシウム、副甲状腺ホルモン、ビタミンD3など)を測りました。
   体内に吸収されたカルシウムの吸収率は※1の式により計算しました。


〔結果と考察〕

 日本人の成人、一日あたりのカルシウム所要量は600mg。基本食には200mgしか含まれていないので、期間中のカルシウム出納は当然マイナスになっています。試験食中は、カルシウムを(1)牛乳 (2)小魚 (3)野菜いずれからとった時も、便から排出されるカルシウムより食事からとったカルシウムの方が多く、それぞれの吸収率は38.8%、34.5%、24.6%になります。しかし、この値は基本食プラス添加食の数字であって、添加食だけの吸収率ではありません。調べたい三種の食品それぞれの単独の吸収率は、兼松氏と同様に計算した結果、人によってばらつきがありますが、平均して牛乳40%、小魚33%、野菜19%という数値をえました(※2)。
   従来と異なった値になったのは、試験方法、対象人数(4名)の違いによると思われます。1953年当時のカルシウム摂取量は260mgと現在(545mg)より非常に少なく、そのため吸収率が高かったことが考えられます。
   いずれにせよ、カルシウム摂取が依然として少なく、小魚やカルシウムの多い野菜をとる習慣のすくなくなった現代の食生活のなかで、牛乳をもっと多くとる大切さが再確認されたわけです。
   この試験のように、普通に生活している人々のカルシウム出納を調べるには数々の困難がともないます。今回は若い女性だけが対象で、カルシウムの投与レベルは1日400mgだけのデータでした。今後は巾広い年齢層の男女について、添加食の投与レベルを変えたり、基本食のカルシウム量を変えてのさらなる検討が待たれるところです。 この研究は全国牛乳普及協会の企画と助成を受けて

女子栄養大学  上西一弘先生
日本女子大学  江澤郁子先生
国立公衆衛生院 梶本雅俊先生
中京短期大学  土屋文安先生
によっておこなわれました。 なお、本研究は、第四回日本骨粗しょう症研究会(1995年11月30日開催)及び第50回日本栄養食糧学会(1996年4月27日開催)で発表され、日本栄養食糧学会誌に掲載される予定です。(後記:日本栄養・食糧学会誌 Vol.51 No.5 259-266 1988)
※2:各食品由来のCaの吸収率について
試験食期のCa吸収率は基本食+添加食の全体のCa吸収率であり添加食のみの吸収率を示してはいない。そこで「基本食にもとづくCaの吸収は変わらないものとみなして、各試験食期間中の便中Ca(平均1日量)より、基本食期間中の便中Ca(平均1日量)を控除したものを、各添加食中Caの未吸収分とし、これから各添加食中のCa摂取量(平均1日量)に対する吸収率を計算する」。という兼松の式を用いて、各添加食のCa吸収率を計算した。
MILK通信II ほわいと(1996年夏号より)

1996年8月1日

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