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ミルクの仕事人 食人(しょくにん)インタビュー

「牛乳普及の歴史・文化から学ぶ見食とは?」牛乳文化の研究家に注目!

—ミルクの仕事人 食人(しょくにん)インタビュー—
ほわいと(2011・春号より)

今回は、日本における牛乳普及の歴史を研究する食人にお話を伺いました。

日本に初めて乳製品が伝わったのは飛鳥時代のことといわれています。
途中、空白の時代を経て、江戸時代中期、現在へとつながる近代日本の酪農・乳業の歴史が始まりました。

かつての日本でミルクはどのような存在であったのか、信州大学名誉教授であり農学博士の細野さんにお話をお聞きしました。


 細野明義さん
 

— そもそもどのようなきっかけで研究を始められたのですか?

私はもともと、学問として乳酸菌や発酵乳の機能性などについて研究していました。
ミルクに関する研究との出合いは大学の時で、大学院でチーズの研究を専攻した頃から、この道にしっかり向き合おうと心に決め取り組み始めたわけです。

私が学問をスタートさせた昭和30年代は、まだまだミルクの研究は今ほど進んでおらず、研究すべきテーマはたくさんありました。農学は努力と情熱の学問。ミルクの研究は、私のライフワークでした。

やがて信州大学の教授となり、講義にも立つようになりました。
熱心に講義をするのですが、学生の中には集中していない者がちらほら。その時、科学的な研究事象を伝えることも大事だが、いかに興味をもって参加させるかが大事だと思うようになりました。

学生たちにはぜひ学ぶことにエキサイティングしてほしい! その一心から生まれた工夫のひとつが、ミルクの歴史・文化について伝えることだったのです。
背景を知ることで「ミルクはおもしろい」と、学生たちは深い興味をもって受講するようになりました。

8年ほど前に乳酸菌の研究にはひと区切りつけましたが、乳文化への興味はつきず今も勉強し続けているのです。

— どのような視点で研究されているのですか?

自らの目で原本を見たいと思う、「原本主義」です。
世の中にはさまざまなミルクの歴史・文化の研究書が出回っていますよね。私はそこに引用されている定説とされている資料・文献についても、自分の足で探し、原本を読んで確かめ、真実の知識を得たいと思っているのです。

原本を読むためには、古文書を読む力が必須です。
そこに的確なアドバイスをくれたのは、信州大学農学部図書館長でした。うまが合ってよく話したものです。

当時館長が「学問をだんだんやっていくと、本が呼んでくれるものだよ」と話してくれましたが、今はその言葉にうなずくことしきりです。

— 「本が呼んでくれる」そんな体験をされたことがあるのですか?

あります。それは日々感じることです。
心に残っているのは「遠西醫方名物考(えんせいいほうめいぶつこう)」という文献に出合った時のことです。

ちょうど読んでいた本の中に「宇田川玄真という江戸時代の蘭方医がチーズについて書いた文献がある」という一説を見つけ気になっていました。
ある日、家族と遊びに出かけた休日のこと。私は別行動で町の散策へ。

ひょんなことから旧家の庄屋のお宅にお邪魔することになりました。
ご主人とお茶飲み話をしていると、古い文献を見せていただくことに。収蔵されたたくさんの文献を見ていると、なんとその中に先述の「遠西醫方名物考」の原本があったのです。

これは我が国において、おそらく西洋のチーズの製造法を記した最古の文献で、発見した時は本当に驚きました。


そのような本の出合いを重ね、文献を読むたびに、まだ未知の発見があるはずと楽しみに日々探求しています。

— 歴史・文化を研究する中で、改めて現代に伝えるべきミルクの魅力とは?

牛乳の歴史・文化を研究しているといかに素晴らしいかがよくわかります。

科学的な評価も然り、文化的な深いかかわりも然り、牛乳の本質を理解した最良のメッセージによって、こどもからおとなまで牛乳がもっと普及するとよいですね。
 
— 昔から人々の健康や元気を養う存在として研究されてきた牛乳。受け継がれる先人の知恵を思い、牛乳で乾杯!

細野さんのこだわり拝見

古文書の辞書

古い文献資料を読み解くのに欠かせないのが、古文書の辞書類。
細野さんの熱心な研究を支えるパートナーです。

古代文字から近世のものまで幅広く揃えています。
演習用の資料もあって、日々「読む」ための練習もしているとのこと。




「遠西醫方名物考(えんせいいほうめいぶつこう)」に始まる多くの発見

自らの足で訪ね、探し、自分の目で確かめる研究へのこだわり。

「遠西醫方名物考」との出合いに始まり「牧牛利用説(まきうしりようせつ)」「牧牛しょ(まきうししょ)」など、全国の資料館や国会図書館などでのたくさんの文献原本との出合いが、細野さんの知的好奇心を刺激し続けます。


▲宇田川玄真著 「遠西醫方名物考」


手紙を書く執筆道具

人とのコミュニケーションには葉書や封書をよく使うそうです。
書くことが好きだからこそ、筆入れ、万年筆など執筆道具にこだわります。

30年使っている筆入れは、実はお土産でいただいた葉巻入れ。筆記具は、モンブランのローラーペンが一番書きやすいとお気に入り。


   
細野さんの研究を詳しく知りたい方は「牛乳・乳製品の我国における啓発小史と健康訴求に関する今日の国際動向」(ミルクサイエンス 第58巻3号、2009、頁213~220)をお調べください。
 
 ※このインタビューは2011年時点のものです。
 下記から他の仕事人のインタビューもご覧ください。

2015年8月1日

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