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ミルク解体新書

第7回 チーズ学

牛やヤギなどの乳を発酵させて作るチーズ。香りもコクも口あたりも、実にバラエティ豊かです。チーズといえばヨーロッパなど外国をイメージしますが、国産チーズにもさまざまな種類があります。
チーズの奥深い味わいと、優れた栄養価を知って、もっとチーズライフを楽しんでみてください。

チーズは、牛乳を保存する方法のひとつ

紀元前から牛、ヤギ、ヒツジは、西南アジアで家畜として飼われていましたが、しぼられた乳は、飲むものではなく、食べる方が一般的でした。

乳は水分が多く、栄養成分も豊富でいたみやすいため、「しぼりたて」でなければ飲むことができなかったのです。

現在のように、いつでも飲めるようになったのは、19世紀になって殺菌技術や輸送方法が確立してからのことです。

 

チーズの製造に欠かせない乳酸菌

一口にチーズといっても、今やその数は1000種類以上にものぼるといわれています。

しぼったミルクをあたたかいところに置いておくと、乳酸菌の働きで、乳糖が乳酸に変わるためすっぱくなります。これが「乳酸発酵」で、チーズを作る上での基本的な工程のひとつです。

乳酸菌のもっている酵素が乳の乳糖を分解して乳酸を生成し、pHを下げることで、有害微生物の増殖を防いだり、熟成中にはおもにたんぱく質を分解してチーズ特有の味や香りを作り出したりするのです。

乳酸菌の種類は多く、それぞれに酵素の量や強さが異なります。
おもに乳酸を作る菌と風味を作る菌とに分けられ、チーズの種類によって混合して使われています。

レンネットやカビ、微生物の働きでチーズには独特の味わいが

チーズ製造に使われる、凝乳酵素であるレンネットは、乳を飲んで育つ反芻(はんすう)動物の第4胃に含まれる酵素です。
レンネットが使われるチーズは、乳酸発酵のみで作られるチーズにくらべて酸味も少なく、熟成による成分の変化で、さまざまな味わいを楽しむことができます。

カビを利用して熟成させると、独特の味と香りをもつチーズができあがります。チーズ作りに使われるカビは食べることのできるカビです。

ロックフォールやゴルゴンゾーラには青カビが使われていますが、青カビは脂肪やたんぱく質を分解する力が強く、チーズ内部でも生育します。

白カビが使われているチーズには、カマンベールやブリーがあり、白カビはチーズの表面のみで生育して、たんぱく質を分解しながら熟成を進めます。

このほかにも、特殊な微生物を繁殖させて作るチーズもあります。
チーズの表面を塩水やアルコールで洗ったり、こすったりするので、ウォッシュタイプと呼ばれるものです。
また、エメンタールチーズなど、チーズアイと呼ばれる大きな穴が特徴のチーズは、スイスタイプに分類されます。

ナチュラルチーズの消費が増加

チーズを大別すると、ナチュラルチーズとプロセスチーズに分けられます(図1 チーズの種類参照)。

ナチュラルチーズは乳を乳酸菌やレンネットの働きで豆腐のように固めるもので、多くの場合、発酵熟成させて作ります。前段で紹介したものは、すべてナチュラルチーズと呼ばれるものです。

一方、プロセスチーズは、1種ないし数種類のナチュラルチーズを砕き、加熱して溶かし乳化剤を加えたものです。
加熱により発酵熟成が止まるので、風味や品質が安定しています。ナチュラルチーズにくらべると、長期保存が可能なことも特徴のひとつです。

プロセスチーズが本格的に普及しはじめたのは1964年の東京オリンピックの頃のこと。
学校給食でも使われるなど、今では日本人の食生活には欠かせないものになりました。

かつての日本ではチーズの製造技術が未熟だったために、日本人が食べやすいチーズとして、プロセスチーズが消費の主流でした。
その後も、プロセスチーズは、ナチュラルチーズにはないおいしさで広く浸透。
混ぜ合わせるチーズの種類や配合を変えることによって、生食に向くタイプや、加熱に向くタイプなど、用途に合わせた商品がさまざまに販売されています。

また、ワインブームや海外旅行者の増加とともに、ナチュラルチーズの存在がだんだんと知られるようになりました。
それに合わせるように、チーズの消費量が増加。日本でも積極的に製造されるようになってきています。
かつてはプロセスチーズの消費量の方が多かったのですが、最近ではナチュラルチーズの消費量の方が多くなっています(図2 チーズ消費量の推移参照)。




日本で生産されているナチュラルチーズ

現在日本では、クリームチーズ、カッテージチーズ、クワルク、マスカルポーネ、モッツァレラ、リコッタなどのフレッシュタイプと呼ばれるものや、ゴーダ、エダム、チェダー、カマンベール、ブリー、ブルーチーズなど、20種類程度のナチュラルチーズが作られています。
日本の風土・気候にあったナチュラルチーズが、北海道をはじめ、全国各地で生産されています。

乳業メーカーでも、国内でのナチュラルチーズの人気、さらには輸入ナチュラルチーズの価格高騰や生乳の有効活用などから、国産品の増産に乗り出すなど、ナチュラルチーズへの取り組みがさかんになってきています。

少量でも栄養たっぷり!おいしくチーズを食べましょう

チーズは、10倍量の乳から作られ、その上、発酵・熟成によって、たんぱく質や脂質が吸収のよい状態に分解されているのが特徴です。
チーズの代表的な食べ方は次の通りです。

(1)そのまま、オードブルやデザートとして食べる。
(2)チーズフォンデュ、チーズケーキなど、料理やお菓子の主材料として用いる。
(3)サラダなど、副材料として用いる。
(4)グラタンやソースなど、調味料として利用する。

チーズは、種類ごとに味も香りも特徴も違うので、用途に合わせて選びたいものです。また、ビタミンCや食物繊維は、原料乳にもほとんど含まれていないため、野菜や果物などといっしょに食べるとよいでしょう。

チーズと一口でいっても、味わいはいろいろ。楽しみ方もいろいろです。さまざまなチーズを試しながら、毎日の食事に、おやつに、お酒のお供に、もっとチーズを楽しんでみてはいかがでしょうか。

知っトク!コーナー

チーズの専門家

11月11日はチーズの日。飛鳥時代に文武天皇がチーズの元祖といわれる「蘇」の製造を命じた月に由来します。

毎年チーズの日には、「チーズフェスタ」が開催され、1万人を超えるチーズファンが集うイベントとして定着しています。

日本でも着々とファンが増えているチーズですが、チーズの本場フランスには、「ギルト・デ・フロマージュ」と呼ばれる、チーズ同業者組合が認証しているチーズ熟成管理士がいます。

チーズ熟成管理士は、チーズの知識の伝達や、チーズごとに合った温度、湿度の管理をしながら熟成度合いを見極めて、一番おいしい状態で提供することがおもな役割です。
日本には、まだ数名しか資格取得者がいませんが、国内の民間団体による認定を受けて、「チーズプロフェッショナル」「チーズ・アドバイザー」などとしてチーズの専門的な知識を普及、啓発している人は年々増加しています。

みんなのMILK DATA

人気が高まり続けるナチュラルチーズ

 日本のチーズ消費は、1990年以降ナチュラルチーズが多数派に。
ナチュラルチーズの消費量は、2012年には18万1千トンと、1990年よりも10万トン以上も消費拡大しています。

ナチュラルチーズの多くは輸入されていますが、人気の上昇にともない国産ナチュラルチーズの生産量も順調にのびています。


国産ナチュラルチーズはゴーダ、チェダーが圧倒的

 ゴーダやチェダーの製造量が多いのは、ピザ用シュレッドチーズやプロセスチーズの原料としても活用されているから。ほかにもオードブルとして人気のカマンベールや、お菓子づくりに活躍するマスカルポーネなど、さまざまなチーズを製造。
その種類を見るだけでも、チーズの特徴を活かした食べ方で、日本の食卓を豊かにしてくれているのがわかります。

日本の1人当たりのチーズ年間消費量は2.4kg(2012年)。欧米諸国に比べてはまだまだ少ないですが、国産ナチュラルチーズには期待大。
チーズライフをますます身近にしてくれそうです。

2014年2月25日

j-milk magazine ほわいと2006冬「ミルク解体新書 第7回 チーズ学」より
(HP掲載にあたり、参照する統計データなどを更新)


下のリンク先より「第1回 カルシウム学」「第2回 たんぱく質学」「第3回 ビタミン学」「第4回 コレステロール学」「第5回 食物アレルギー学」「第6回 脂肪酸学」「第8回 ヨーグルト学」をご覧頂けます。

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