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牛乳百科事典トップ > ミルクと出会って万人に好まれるようになったチョコレート
Issued 2005/01/31

ミルクと出会って万人に好まれるようになったチョコレート

 2月14日はセント・バレンタイン・デー。日本では昭和30年代からあるチョコレートメーカーの宣伝とともに、女性から男性への愛の告白としてチョコレートを贈る風習が広まりました。今では恋人同志にとどまらず、広範な人たちの間に広まり、贈り物はチョコレートに限らずいろいろですが、やはりチョコレートにとっては晴舞台のようです。

 さて、そのチョコレートが、お菓子として嗜好品になったのは19世紀になってからで、それまでは上流階級の健康飲料、薬用効果の高い強壮剤と言った飲み物だったようです。
 チョコレートの原料のカカオは、4000年前あたりから中米メソアメリカで栽培されていました。カカオは、コロンブスがアメリカ大陸を発見する以前は、マヤ、アステカ王朝の王侯の飲み物であり、貨幣でもあったようです。
 カカワルトと呼ばれた飲み物は、まずカカオ豆を乾燥させて炒り、練り粉にし、水を加えてどろどろ状にしたものにトウモロコシの粉や唐辛子、アチョテ(赤い木の実から取った天然食紅)を加えたもので、現在のチョコレートからはとても想像できないものでした。砂糖を加えたり、お湯に溶かすなどしてヨーロッパ人の好みの飲み物になるのはずっと後のことです。

 お金や貢ぎ物としてカカオが貴重だったことも、新大陸に渡ったいろいろな人々が書いています。樹幹に直接花が咲き、実がなるカカオは初めて見た人にはたいへん印象深くもあったのでしょう。生産地が限られ貴重なものだったことや、実は固く手頃な大きさで扱いやすかったことなどがお金としての役割を果たすのにも便利だったようです。やがてスペイン人によって中米が征服され、カカオがヨーロッパにもたらされます。

 カカオ豆はココアバターという脂肪分を多く含み、すりつぶしたカカオマスは半分以上がココアバターで、脂っこくて消化も悪く、飲みやすいものではなかったようです。1828年にオランダのバンホーテンが脱脂用のプレスマシーンを開発し、脂肪分を28%まで下げることに成功しました。このカカオマスを細かく粉末状にしたのがココア。
 1847年には、イギリスでカカオペーストに砂糖とココアバターを混ぜたチョコレートが売り出されましたが、かなり苦みが強く、万人が好むものではありませんでした。この苦みを抑えるためにミルクを混ぜることが考えられ、1876年、スイスのダニエル・ピーターが、カカオペーストと砂糖、ミルクを混ぜ合わせた液状のものを乾燥、粉末にし、そこへココアバターを加えるという製法を発明し、ようやく現在のようなミルクチョコレートが誕生。チョコレートが万人に好まれるものになったのです。ダニエル・ピーターはチョコレート工場主の娘に恋をしてチョコレート職人になり、日夜工夫してミルクチョコレートをつくりあげたといわれます。ミルクとチョコレートの出会いには、甘い恋物語もあったのでした。

 さて、現在ではチョコレート=薬用とはあまりイメージが結びつかないようですが、その昔、王侯貴族が珍重したカカオの薬用効果は、食品には珍しい銅分による造血効果、赤ワイン以上に豊富なポリフェノールの活性酸素抑止によるがんや動脈硬化の予防、豊富なミネラル分など、確かに効用はあるようです。さらに免疫力を高める、抗ストレスなど牛乳との共通な効果もありますので、インフルエンザ、ノロウィルスなどが心配される寒い冬を健康に過ごすために、ホットミルクチョコやミルクココアなどを、楽しんでみてはいかがでしょうか。
 ホットミルクチョコは、少量の牛乳とチョコレートを極弱火で溶かして少しずつ牛乳で薄め、甘みは後で調整します。ミルクココアは粉末のココアと砂糖に、少しずつ牛乳を加えよく練ってから、温めた牛乳で溶くのがポイント。油脂分は少ないので練る時に無塩バターを加えるのも、また美味しく楽しむ工夫です。