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変容ステージをベースにした食育プログラム

大学生の約5割が間食を乳製品に

変容ステージをベースにした食育プログラム 大学生の約5割が間食を乳製品に

代表研究者 高知大学教育研究部人文社会科学系教育学部門:柴 英里

 大学生を対象とした二つの研究では、牛乳・乳製品に関する変容ステージをベースにした調査と食育プログラムの実施によるその効果を検証しました。

大学生を対象とした調査では、牛乳・乳製品摂取の意識が栄養面や精神面に影響を及ぼしていることが分かりました。

また、デジタル・ツールと手軽に調理できる器具を教材として使用した食育プログラムでは、大学生のおよそ5割が間食として乳製品摂取の変容ステージをアップさせました。

精神的な健康度も含め、 総合的に調査

 食育は、実践後の学習成果のゴールとなるひとつの指標として、良い食生活に向けた「行動変容」があると思います。本研究では、牛乳・乳製品摂取の変容ステージ(表1)に着目し、食育を行う必要性とその効果を明らかにしたいと考えました。牛乳・乳製品摂取によって、栄養機能面はもちろん不定愁訴や最近クローズアップされるようになった幸福度・ストレス度などへの影響も期待できます。そこで精神的な健康度も含めて、総合的に調査することにしました。
 対象を大学生としたのは、一人暮らしで自炊をしている学生はもちろん、自炊をしていない学生も家庭から自立して食生活を営んでいる場合が多いため、研究対象者として相応しいと考えたからです。

 研究は、ふたつのアプローチをとりました。
一つ目の研究では、自記式質問紙を用いて食物摂取頻度、不定愁訴、幸福度、ストレス度などを調査しました。
二つ目の研究では、デジタル・ツールや手軽に調理できる器具(シリコン製スチームケース)を教材に活用し、牛乳やヨーグルトの摂取がどのように変容するか、変容ステージの変化をとらえました。
 

大学生の牛乳乳製品摂取 栄養面と精神面の双方に影響

  一つ目の「研究1」では、牛乳・乳製品摂取の実態を明らかにするため、大学生390人を対象にどの変容ステージに位置付いているかを調査しました。牛乳・乳製品を摂取が、習慣化している「維持ステージ」の大学生は約2割弱で、日常的ではないものの摂取を心がけている「準備ステージ」の大学生は約4割(準備ステージ)であることがわかりました。

一方、牛乳・乳製品を十分に摂取するつもりがない「前熟考ステージ」「熟考ステージ」の大学生は約3割もいることがわかりました。(グラフ1)

 牛乳・乳製品の摂取に関する変容ステージと栄養摂取状況の関係では、牛乳・乳製品を摂取している大学生のほうが摂取していないものと比較して、カルシウム、リン、パントテン酸などの栄養素の摂取量が多いことが明らかになりました。(表2)

 
 不定愁訴、ストレス度、幸福度などの精神面との関連では、「維持ステージ」の大学生が他のステージと比較して、不定愁訴得点が低く、幸福度は高い、さらに、ストレス度が低いという結果が得られました。(グラフ2)
 以上の分析結果から、牛乳・乳製品の摂取を促すことによって、栄養面からみた食事の質全体の向上を図ることができることが分かりました。また、牛乳・乳製品の摂取が、精神面の健康においても、重要な役割を果たす可能性が示唆されたといえます。
 

適切で継続的な支援 変容の可能性高まる

 二つ目の研究では、大学生自らが主体的に学習活動を行い、学びを創りあげていく自己調整学習に着目しました。26人の対象者には、教材としてデジタル・ツール(ニンンテンド-DS・「こはるの DS うちごはん」)と調理器具のシリコン製スチームケースといった2種類を教材として準備し、2 週間ずつ合計4週間貸与しました。そして牛乳摂取および間食としてのヨーグルト摂取に関する変容ステージの変化を、教材を使用する前後で比較検証しました。

 その結果、牛乳摂取の変容ステージの変化は、対象者26人中でステージが上がった大学生は4人(15.4%)、変化のなかった大学生は18人(69.2%)、ステージの下がった者が4人(15.4%)でした。そのうち「熟考ステージ」の大学生およそ3割が準備ステージ以上にステージアップしましたが、牛乳摂取を促す効果は限定的であるという結果がでました。

 間食としてのヨーグルト摂取については、変容ステージが教材使用前後でどのように変化したかみると、26人のうちステージが上がった者は12人(46.2%)、変化のなかった者は11人(42.3%)、逆にステージが下がった者は3人(11.5%)で、全体の約5割弱が変容ステージアップの方向へ行動変容したことが分かりました。

 特に「熟考ステージから準備ステージ」「準備ステージから実行ステージ」へのステージアップに効果的であったことが分かりました。これらの結果から、間食をヨーグルトに置き換えるという行動は、対象者にとって牛乳摂取よりも障壁が低く、日常的に取り入れやすい行動である可能性が明らかになりました。(表3)
 また、デジタル・ツールの使用回数が1回程度と少なかった大学生のほとんどは、使用しなかった理由として教材の使いづらさをあげていました。シリコン製スチームケースに関しても、手軽に調理できる点は評価されたものの対象者の約半数が使用回数1~2回と少なく、単に教材を貸与しただけでは教材を活用しきれないことが分かりました。

対象者の食行動変容を促すには、優れた教材を導入するだけでなく、調理実習など体験を通して仲間と学び合うなど、さらなる継続的な教育的支援が必要であることがわかったといえます。
 

- 「わかりやすい最新ミルクの研究」2016 年度 -

一般社団法人Jミルクと「乳の学術連合」(牛乳乳製品健康科学会議/乳の社会文化ネットワーク/牛乳食育研究会の三つの研究会で構成される学術組織)は、「乳の学術連合」で毎年度実施している乳に関する学術研究の中から、特に優れていると評価されたものを、「わかりやすい 最新ミルクの研究リポート」として作成しています。

本研究リポートは、対象となる学術研究を領域の異なる研究者や専門家含め、牛乳乳製品や酪農乳業に関心のある全ての皆様に、わかりやすく要約したものになります。
なお、研究リポートに掲載されている研究内容詳細を確認する場合は、乳の学術連合公式webサイト内「学術連合の研究データベース」より研究報告書のPDFをダウンロードして閲覧可能です。あわせてご利用ください。
 

2017年1月25日

変容ステージをベースにした食育プログラム 大学生の約5割が間食を乳製品に

代表研究者 高知大学教育研究部人文社会科学系教育学部門:柴 英里

- 「わかりやすい最新ミルクの研究」2016 年度 -

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研究報告書は乳の学術連合のサイトに掲載しています

研究の詳細は、こちらをご覧ください。

行動変容ステージモデルに基づいた乳・乳製品の摂取を促す食教育プログラムの開発 - 青年期を対象として -  

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我が国における牛乳乳製品の消費の維持・拡大及び酪農乳業と生活者との信頼関係の強化を図っていく観点から、牛乳乳製品の価値向上に繋がる多種多様な情報を「伝わり易く解かり易い表現」として開発し、業界関係者及び生活者に提供することを目的とした健康科学分野・社会文化分野・食育分野の専門家で構成する組織の連合体です。

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