骨粗鬆症 骨密度以外も関係 食事や運動で予防可能
喫煙、飲酒も危険因子
折茂肇・骨粗鬆症財団理事長に聞く
毎日新聞 2006年11月4日 (土曜日) 「暮らし豊かに 役立つページ」より
(許可を得て転載しています)

財団法人 骨粗鬆症財団 折茂肇理事長
閉経後の女性に多い骨粗鬆症は、高齢になると日常生活での転倒で骨折を招きやすいが、食事や運動で予防が可能な病気だ。医師が診療の際に用いる「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」が今年10月、4年ぶりに全面改訂された。日本骨粗鬆症学会などによる今回の改訂版は、予防が重視されているのが特徴。骨がもろくなる骨粗鬆症の最近の研究状況や予防の基礎を骨粗鬆症財団の折茂肇理事長に聞いた。【闇き手・申村美奈子】
●骨粗鬆症の最近の研究で、何が分かったのか。
骨粗鬆症による骨折の原因はこれまで低骨密度(骨量が少ないこと)だとされてきた。だが、この4年間で、喫煙、1日2合以上の飲酒、ステロイドの服用、加齢、遺伝的要因など、骨密度以外の危険因子が明らかになり、骨密度だけを基準に治療しているのでは不十分だと分かってきた。
薬物療法に絞ったガイドライン(02年版)を全面改訂し、予防を重視したのが今回の特徴。骨粗鬆症は「50歳以上の女性の4割弱が患者」と言われているが、喫煙など危険因子の大半は、生活習慣を変えれば取り除ける。
●女性は何歳ごろから何に気をつければいいのか。
「何歳から」と言うことはできず、子どもの時からの食生活と運動が大事だ。男女とも、20〜45歳の間に骨密度がピーク値に達し、女性は閉経後、年間2%のペースで骨密度が落ちていく。カルシウムを十分に取ることが重要で、運動でも骨密度が高まる。
閉経近くなっても、「私は大丈夫」と思いこんでいる女性が多いが、まずは自分の骨密度を知ることが不可欠。骨密度は体重と身長に密接に関係し、過度のダイエットは骨に対して悪影饗を及ほす。過度のダイエットをしたことのある人は骨粗鬆症予備軍の可能性が高い。
多くの人に心がけてほしいのは、40歳になったら骨密度検診を受けることだ。特に、やせている人は必ず受けてほしい。骨密度の検診は地元の保健所などで受けることができる。ただ、通常なら骨を折らない程度の転倒で、骨折をしてしまった人は骨粗鬆症の疑いがあり、診療と治療が必要だ。
●カルシウムの取り方と運動の仕方のポイントを教えてほしい。
今回のガイドラインに、カルシウム自己チェック表=表参照=を掲載した。摂取の目安や自分の状態が分かるので、参考にしてほしい。最近、「牛乳を飲むと骨粗鬆症になる」と言う人もいるが、私が調べたところ、全く根拠がないことが分かった。牛乳に含まれるカルシウムは体に吸収されやすいので、ぜひ飲んでほしい。だが、カルシウムの過信はいけない。カルシウムは基礎的な栄養素なので、劇的な効果はない。運動をすることが大切だ。運勤は、高齢になっても週2〜3回、エレベーターを使わず階段を上る程度のことをしてほしい。ウオーキングや太極拳がいいだろう。太極拳は体を安定させて転倒の回数を減らすというデータが出ている。