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牛乳の放射能問題に関するQ&A

2011年8月09日版

左欄の関連情報から「原乳中における放射性物質の検査結果について」、「牧草中の放射性物質の調査結果について」もご覧下さい。

Q1.牛乳の放射性物質汚染については、どのような検査が行われていますか?

A1

原発事故による放射性物質汚染に対して、厚生労働省は食品衛生法に基づく暫定規制値を設定(表1)し、これを上回る食品が食用に供されないよう各都道府県に通知するとともに、福島県及び周辺の14都県(注)に放射性物質の定期的なモニタリング検査を実施するよう指示しました。
検査の結果、暫定規制値を超過した場合、原子力災害対策特別措置法に基づき原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)から都道府県知事に対し食品の出荷制限の指示が発せられます。
出荷制限が出された地域の原乳は、継続的な検査により一定の要件を満たせば出荷制限は解除されます。ただし、その後もモニタリング検査は継続的に行われ、再び暫定規制値を超過した場合は、同様の制限措置がとられます。(詳しくはQ4へ
牛乳や乳製品は、その原料となる原乳(生乳)段階でモニタリング検査を実施することにより、牛乳・乳製品の安全性を確保しています。

表1 原乳の摂取制限に関する指標(暫定規制値)
(注)福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、神奈川県、宮城県、山形県、新潟県、長野県、埼玉県、東京都、山梨県、静岡県
核種 原子力施設等の防災対策に係る指針における
摂取制限に関する指標値(Bq/kg)
放射性ヨウ素 300
(但し、100 Bq/kgを超えるものは、乳児用調製粉乳及び
直接飲用に供する乳に使用しないよう指導すること。)
放射性セシウム 200

Q2. 原乳の放射性物質に関するモニタリング検査は、どのように行っているのですか?

A2

牧場の原乳は、一旦、近隣のクーラーステーションと呼ばれる大型の冷却施設に集められ、そこから乳業工場に出荷されるのが一般的です。そのため、通常はそのクーラーステーションで採取されたサンプルに対して検査が行われます。
地域にクーラーステーションがない場合、或いは乳業工場がごく近くにある場合など、一部にクーラーステーションを経由しない原乳もあります。この場合は、乳業工場に直接運ばれ、乳業工場でサンプルが採取され検査が行われます。

Q3. 原乳の放射性物質に関するモニタリング検査の結果は、どこで確認することができますか?

A3

モニタリング検査は各自治体(都県)が実施しますので、その結果は各自治体(都県)のホームページに掲載されています。なお、下記のサイトでは、県別、時期別に検査結果をご覧いただけます。

畜産物の放射性物質の検査結果(農水省)

Q4. 原乳のモニタリング検査の頻度はどの程度ですか? また、出荷制限はどのような手順で、解除されているのですか?

A4

原乳のモニタリング検査は、平成23年6月27日「食品中の放射性物質汚染に関する『検査計画・出荷制限品目、区域設定・解除の考え方』の改正について」において、おおむね2週間に1度検査を行うこととなっています。(Q1参照)
また、出荷制限の解除は、検査の結果が連続して暫定規制値以下(放射性ヨウ素については3回連続100Bq/kg以下。放射性セシウムについては直近1ヶ月以内の検査が全て200Bq/kg以下。)となった場合、各都道府県からの申請により原子力災害対策本部が解除を判断します。
なお、現時点では福島原発の警戒区域、計画的避難区域を除く全ての区域で出荷制限が解除されています。

Q5. 汚染レベルの高い原乳が、他の地域の原乳と混ぜて出荷されるということはありませんか?

A5

汚染レベルの高い原乳は出荷制限されますので、そのような事実はありません。(Q1参照)
なお、原乳は気候の変動などで生産が増減し、地域によっては不足することがあります。その場合、特に酪農が盛んな北海道から各都府県に原乳が運ばれています。また、時期によっては都府県の原乳についても県域を越えて流通しますが、ブロック地域ごとに生産者団体が管理しています。

Q6. 原発事故後、福島県の乳牛を他県に移動させたと聞きましたが、本当ですか? そのことにより、他の地域の原乳が放射性物質汚染されることはありませんか?

A6

原発事故後、家畜の世話を通して畜産農家が放射線被ばくをしないために、福島県は、県内の計画的避難地域で飼養されていた家畜を可能な範囲で移動(販売を目的とした出荷を含む)させる措置を促進しています。
ただし、移動する場合はサーベイメーターによる放射線スクリーニング検査を実施し、10万cpmを超える場合はブラッシングや水洗により除染作業を行い、農場からは10万cpm以下の家畜のみを搬出することとしています。
計画的避難区域の搾乳牛は、移動元または福島県内の移動先において、移動する(した)乳牛の原乳だけを集めて1週間ごとに検査が行われ、3回連続で暫定規制値以下となった場合のみ出荷されます。
また、警戒区域内の家畜の取扱いについては、区域内で生存している家畜の区域外への移動は行わないこととしています。
なお、原発事故の発生以降に水田から稲わらを収集し給与するなど、不適切な飼養管理の事例が判明したことから、7月19日付け原子力災害対策本部長指示により、「福島県内で飼養されている牛について、当分の間、県外への移動(12月齢未満の牛のものを除く)及びと畜場への出荷を差し控える」こととなっています。

Q7. 販売されている牛乳の産地や加工場所をチェックすることは可能ですか?

A7

牛乳のパッケージにある「一括表示欄」の記載については、食品衛生法に基づく表示指導要領が示されています。その要領では、「製造所所在地」(メーカーによっては「固有記号」で表示している場合あり)及び「製造者名」の記載が義務付けられていますが、原乳の「原産地」に関する表示は指定されていません。
また、乳業メーカーが使用する原乳は、販売者である生産者団体が東北や関東などのように広域で組織化されていることもあり、その産地は都道府県単位に固定されていません。そのため、商品名に「産地」が使われている商品を除き、特定の原産地を表示することは難しい実態にあります。
お手元の牛乳の原産地や固有記号で表示された乳業工場の所在地をお知りになりたい場合は、製造者(乳業メーカー)のお客様相談室などにお問い合わせください。

Q8. 汚染レベルの高い原乳を、チーズなどの原料として利用したという噂さは本当ですか?

A8

暫定規制値を超過した原乳は出荷制限措置がとられるため、そのような事実はありません。(Q1参照)

Q9. 乳業メーカーは独自に放射性物質検査をしないのですか?

A9

原乳段階でモニタリング検査を実施することにより、牛乳・乳製品の安全性を確保しています。
なお、都道府県などの地方行政機関では、消費者の方々の不安を解消するため、放射性物質検査を実施している場合もあります。その検査結果は、下記のHPでご覧いただけます。

農水省HP「厚生労働省(食品中の放射性物質の検査結果)」

Q10. 牛が食べる牧草や水、呼吸する空気について放射性物質検査はしているのですか?

A10

大気中及び水道水中の放射線量は各地方自治体などによる調査が実施され、それぞれHPで計測値が詳細に公表されています。
牧草については、「大気中の放射線量が通常より高いレベルで検出された地域」において、「今後(原発事故後に)生産される粗飼料について暫定許容値(表2)以内のものを使用するとともに、その検査を行うこと」とされました。その結果、6月21日現在で、岩手県、宮城県、福島県、栃木県のそれぞれ一部地域において、粗飼料の利用及び放牧の自粛が行われています。自粛の解除は、原則として3回連続で暫定許容値を下回ることが条件となっています。

表2 粗飼料中の放射性物質の暫定許容値(Bq/kg)
放射性ヨウ素 放射性セシウム
乳牛用 70300
肉牛用 農産物の出荷制限地域以外で生産300
その他の牛用 農産物の出荷制限地域以外で生産5000
なお、牧草中の放射性物質の検査結果は、下記のHPで公表されています。

牧草中の放射性物質の検査結果(農水省)

Q11. 学校給食の牛乳はどこから、どうやって調達されているのか教えてください。

A11

学校給食用の牛乳は、原則として、その牛乳を製造する乳業工場が所在する各都道府県産の原乳が使用されています。ただし、児童生徒人口が多く、酪農家戸数の少ない地域(例えば東京都)では、工場の近隣の他県産の原乳も使用する場合もあるなど、状況はさまざまです。
なお、それらの原乳についても、暫定規制値を超過した原乳は出荷できないため、安全性は確保されています。(Q1参照)
学校給食に供されている牛乳の原産地をお知りになりたい場合は、ご面倒でも、製造者(乳業メーカー)のお客様相談室などにお問い合わせください。

Q12. チェルノブイリ原発事故の時、牛乳の摂取によりガンが多発したという話しがありますが本当ですか? 福島原発事故でも同じことが起きるのではありませんか?

A12

1986年のチェルノブイリ原発事故による小児の甲状腺ガンと牛乳との関係について、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が報告書を公開しましたが、ヨウ素131による内部被ばくで甲状腺ガンになったと見られる患者数は6千人以上、その内2005年までに亡くなったのは15人としています。
WHOは「チェルノブィリ事故による健康影響の概要」においてこの甲状腺ガンについて次のように評価しています。『高汚染地域の居住者のうち事故時に小児期や青年期であった人では、甲状腺ガンの発症率が大きく増加した。これは事故直後の初期に放出された高レベルの放射性ヨウ素のためで、放射性ヨウ素は牧草に蓄積しそれを牛が食べることで牛乳中に濃縮され、それを子供が飲んだことによる。この地域では通常の食生活でヨウ素欠乏となるため、放射性ヨウ素の甲状腺への蓄積が促進された。放射性ヨウ素の半減期は短いので、事故後の数ヶ月の間、汚染した牛乳を子供に与えるのを止めていたら、放射線誘発甲状腺ガンの過剰増加の大部分は生じなかっただろう。』
中川恵一准教授(東京大学医学部附属病院放射線科)は、「ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に不可欠で、その摂取のほとんどは海草からとなっている。日本人は普段から海草や海産物の摂取が比較的多いためヨウ素の充足度は一般的に高く、チェルノブイリほどの影響はないと考える。」と述べています。<出典・参照 『放射線のひみつ』中川恵一著、朝日出版社>
なお、今回の福島原発事故においては、放射性物質汚染された原乳に対しての出荷制限措置が速やかに実施され、現在も、各自治体の検査が実施されています。
また、放射性ヨウ素の暫定規制値が「100 Bq/kgを超えるものは、乳幼児用調製粉乳及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導する」とされていますが、これは放射性ヨウ素が乳幼児の甲状腺に対する影響が大きいことを考慮して、より安全に配慮した指導を行うためです。

Q13. 肉用牛への稲わら給与が牛肉の放射性物質汚染の原因と報道されていますが、乳牛へは稲わらを給与しないのですか?

A13

乳牛、特に搾乳牛には、一般的に稲わらは給与されていません。何故なら、稲わらは栄養価が低く、乳牛の健康維持や産乳量に見合った栄養充足の必要性から、稲わらではなく、栄養濃度の高い良質牧草の給与が不可欠だからです。
なお、稲作を兼業とする酪農家、近隣が稲作地帯の酪農家の中に、稲わらを補足的に利用していることもありますが、牛床の敷料(敷きわら)として活用されるのが一般的です。
もちろん、稲わらを飼料や敷料としている酪農家が出荷した原乳も含め、定期的な検査において放射性物質の規制値を超過していない原乳が流通しています。
なお、肉用牛飼養に不適切な稲わら給与があった事例を受け、国や各自治体は、酪農家の乳牛の飼養実態(どのような餌を食べさせているのかなど)を調査し、問題がある酪農家にはその改善を指導するような取り組みを行っています。
また、生産者団体においても、酪農家に対し、原発事故後に収穫した稲わら等の利用を中止するよう指導しています。

Q14. 原乳はクーラーステーションで混ぜ合わせてから乳業メーカーに渡されるそうですが、どうしてそのようなことをするのですか?

A14

酪農家は地域内に離れて点在しているため、原乳は集乳車と呼ばれるタンクローリーで集荷され、一旦、クーラーステーションと呼ばれる大型冷却施設に集められます。そこで原乳の検査が行われ、安全性が確認された原乳を大型のタンクローリーに移し替え、各乳業工場に出荷します。(Q2参照)
このように、同じ地域の複数の酪農家の原乳を集めて大型冷却施設の中に冷蔵保管することを「合乳」と呼び、その目的は原乳の安全管理と輸送を素早く低コストで行うことにあります。こうした原乳の流通方式は、福島の原発事故発生以前から行われてきたもので、諸外国でも一般的に採用されている流通システムです。

Q15. 牛乳・乳製品の暫定規制値はどのようにして決められたのですか、これは安全なレベルなのですか?

A15

牛乳・乳製品の暫定規制値は、国際放射線防護委員会(ICRP)が提案した放射線保護のための放射線量レベルを基に食品安全委員会で検討し、十分な安全性を配慮して厚生労働省で決められています。
具体的には防護対策をとるべき年間放射線の上限量(上限被ばく量)を、放射性ヨウ素については50ミリシーベルト、放射性セシウムについては5ミリシーベルトとし、この年間放射線量が5つの食品カテゴリー(@飲料水、A牛乳・乳製品、B野菜類、C穀類、D肉・卵・魚他)に割り当てられています。牛乳・乳製品への割り当ては、放射性ヨウ素11.1ミリシーベルト、放射性セシウム1ミリシーベルトです。
この上限被ばく量から逆算して、牛乳乳製品の放射能の規制値が計算されています。その場合、牛乳・乳製品の摂取量を成人0.2kg/日、幼児0.5kg/日、乳児0.6kg/日と設定し、これを1年間食べた続けた場合に年間放射線量を超えない値(ベクレル)を計算します。計算結果は、放射性ヨウ素が大人10,000、幼児849、乳児382ベクレル、放射性セシウムが大人1,660、幼児843、乳児270ベクレルとなりますが、規制値の設定においては、より厳しい乳児の値を根拠として、放射性ヨウ素の規制値として300ベクレル、放射性セシウムの規制値として200ベクレルが設定されました。
この規制値は、全ての食品(飲料水、牛乳・乳製品、野菜類、穀類、肉、卵、魚他)に放射性物質が含まれていると仮定し、それを相当な量(牛乳・乳製品の場合は1日600g)を1年間365日食べ続けた場合でも、食品由来の許容放射線量を超えないレベルとして設定されているもので、非常に高い安全性を見込んだものです。
さらに、放射性ヨウ素については、「100ベクレル/kgを超えるものは、乳幼児用調製粉乳及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導する」とされています。これは、放射性ヨウ素の乳幼児の甲状腺に対する影響が大きいことから、より安全に配慮した指導を行うためです。

【参考】

●ベクレル  …放射線を出す能力を示す単位。1秒間に1個の原子が壊れて放射線を出す状態を1ベクレルという。
●シーベルト …放射線の人体への影響を示す単位。放射線の影響度は、放射線の種類(α線、β線、γ線など)や放射線を受けた場所(胃、肺、皮膚など)によって異なるため、その影響度を同じ物差しで評価するための単位。
●cpm     …(count per minute) 測定器(サーベイメーター)が1分間に計測した放射線の数。検体表面の汚染の有無を測定する数値。
●食品安全委員会の情報放射性物質の食品健康影響評価の状況について国際機関による影響評価についてなどのQ&A「放射性物質を含む食品による健康影響に関するQ&A」[PDF]

この件に関するお問い合せ

社団法人日本酪農乳業協会 丸山
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FAX 03-6226-6354