| ■脂肪の大部分は脂肪酸 |
脂質は、おもに炭素、酸素、水素からなる、水に溶けない有機化合物で、その脂質の中でも「単純脂質」と呼ばれるものが「脂肪」です。この脂肪の性状や栄養学的な性質を決めているのが、その成分の約90%を占める脂肪酸です。
脂肪酸とは、カルボン酸という酸の一種で、酢の成分である酢酸に、複数の炭素が鎖状につながったかたちをしています(図1参照)。脂肪酸にはいろいろな構造のものがあります。
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| ■脂肪酸の種類によって決まる脂肪の性質 |
炭素の鎖の長さと炭素同士の結合方法によって、いろいろな種類の脂肪酸に分類されます。
天然に存在する油脂は、単独の脂肪酸で構成されるのではなく、いくつかの脂肪酸が一定の割合で混ざり合って構成されています。そして油脂の種類によって脂肪酸組成は大きく異なり、性質も大きく変わるのです (表1参照) 。
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| ■短鎖・中鎖脂肪酸が多い牛乳・乳製品 |
脂肪酸を炭素の鎖の長さで分類した場合は、短鎖、中鎖、長鎖脂肪酸に分類されます。一般的な油脂の多くは長鎖脂肪酸を多く含んでいますが、バターや牛乳には短鎖や中鎖の脂肪酸も含まれています。
さらに脂肪酸は、炭素同士の結合の違いによって、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別することができます。バターに多く含まれるパルミチン酸などの飽和脂肪酸は、炭素の結合の手が全部水素で満たされている(これを飽和という)もので、化学的には安定した構造で酸化されにくいのが特徴です。 |
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| ■不飽和脂肪酸の構造による役割の違い |
分子内に二重結合をもっている脂肪酸を、不飽和脂肪酸といいます。
不飽和脂肪酸の分子中に、二重結合を1つだけ持つものを一価不飽和脂肪酸、2つ以上持つものを多価不飽和脂肪酸と呼び、鎖のどの位置に二重結合があるかによって、n-3系、n-6系などに分かれます。二重結合が多いほど、融点が低くなります。
n-3系の「α-リノレン酸」、「EPA(エイコサペンタエン酸)」、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」、n-6系の「リノール酸」、「アラキドン酸」は、体内で合成されず(もしくは、合成されにくく)、食物から摂取しなければなりません。これらの脂肪酸を、必須脂肪酸と呼んでいます。必須脂肪酸が不足すると、こどもの成長障害や皮膚炎が起こるといわれています。 |
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| ■系列によって働きが違う、多価不飽和脂肪酸 |
多価不飽和脂肪酸は、系列・種類によって、体内での働きが異なります。乳製品にも含まれる必須脂肪酸「リノール酸」は、n-6系の代表的な多価不飽和脂肪酸で、コレステロールや血圧を下げるといわれ、生活習慣病予防のため積極的に摂取されてきました。
これに対して、おもにシソやエゴマなどに含まれ、乳製品にも含まれる必須脂肪酸「α-リノレン酸」はn-3系の多価不飽和脂肪酸で、心疾患やアレルギーを予防する効果があるといわれています。α-リノレン酸を含む油は、非常に酸化されやすいのが特徴です。
同じくn-3系の不飽和脂肪酸のEPAやDHAは、冷たい海の中を泳ぐ魚に多く含まれています。DHAは脳の発達に効果があるといわれ、これを添加している育児用粉ミルクもあります。 |
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| ■脂肪酸との上手なつき合い方 |
動物性の脂肪は悪者と思われがちですが、大切なのは脂肪酸のバランスです。
食品には、各種の脂肪酸が異なった割合で含まれていますから、食品成分表に記載されている脂肪酸組成を参考に、カラダにとってより有用な働きをしてくれる脂肪酸を多く含む、良質の脂肪を中心に、バランスよく摂取するように心がけましょう。
ちなみに、現在、望ましい脂肪酸摂取の比率は、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3、そして、n-6系不飽和脂肪酸:n-3系不飽和脂肪酸=4:1といわれています(図2参照)。
なお脂肪エネルギー比率(摂取総エネルギーに占める脂質由来のエネルギーの百分率)は、25パーセント未満に抑えるのが理想的です。
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| ■燃焼されやすい脂肪酸を含む牛乳・乳製品 |
牛乳の脂肪は、牛乳に溶けているのではなく、乳脂肪膜という薄い膜に包まれた小さな粒(脂肪球)として牛乳中に分散しています。バターは、牛乳中の脂肪を集めて、かたまりにしたもので、乳脂肪の中に、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)、カロテンなどが含まれています。脂溶性ビタミンは、脂肪といっしょに摂ると、吸収率がぐんとアップするといわれており、牛乳中に含まれる脂溶性のビタミンAは、乳脂肪に溶けるかたちで存在しているため、とても効率よくカラダに吸収されます。
牛乳は、乳脂肪を含むため、太るという誤解を受けやすいのですが、牛乳に含まれる乳脂肪は4%未満と決して多い量ではありません。
乳脂肪に多く含まれるのは飽和脂肪酸です。けれど含まれる脂肪酸の種類は幅広く、不飽和脂肪酸までも含みますから、他の食品に比べてまんべんなく摂ることができます(みんなのMILK DATA参照)。
また、含まれる短鎖・中鎖脂肪酸は、他の脂肪酸に比べてカラダの中で燃焼されやすいので、カラダに脂肪がつきにくいともいわれています。
カラダにとって欠かせない脂質。その脂肪酸の組成と特徴に注目して、バランスよく脂質を摂るように心がけましょう。 |
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