なぜ、今「3‐A‐Day」なのか
健康ブームが全国的な広がりを見せるなかで、さまざまな健康法がメディアを賑わせています。食生活の見直しもそのひとつ。健康な日々を過ごすには、栄養バランスに優れた食生活を心掛けることが大切ですが、生活スタイルが多様化した今、それを習慣化するのはなかなか難しいことです。
必要性は感じるけれど、面倒なことはイヤ――そんな人でも、日常的に実践できてしかも続けられる。食生活改善の鍵は、何よりそうした手軽さにあると言えそうです。
そこでおすすめしたいのが、現在、日本の酪農・乳業界が中心となって進めている新しい食習慣「3‐A‐Day」。牛乳・ヨーグルト・チーズをどれでも自由に1日3回、または3品摂ること(図1)で、栄養バランスのとれた食生活を身につけようという呼びかけです。
この運動は、もともと2003年にアメリカで始まったもの。カルシウム不足が深刻な問題となっているアメリカでは、農務省や医学会もこのプログラムを支援しています。イギリスやカナダ、オーストラリアも参加を表明するなど、ここにきて「3‐A‐Day」は世界的な広がりをみせています。
牛乳・乳製品は、歴史のなかでその安全性が実証されてきた食品であり、多種多様な栄養素をバランスよく含んだ自然からの恵みです。なかには栄養価が高いというイメージから、「カロリーが高くて太りそう」「コレステロール値が上がりそう」との声もあるようですが、最近の研究では、牛乳・乳製品の摂取が「体脂肪の減少につながる」「コレステロール値を上げない」という結果も示されています。
牛乳・乳製品を日々の食生活に無理なく取り入れようという心掛け「3‐A‐Day」。それは、忙しい現代人にぴったりの手軽な食習慣であり、健康な毎日を送るための第一歩でもあるのです。

図1「3-A-Day」のパターン例
3品の組み合わせは自由、1日3回摂るのがポイントです。
体に必要な栄養素を「牛乳・ヨーグルト・チーズ」で補う
これまでの研究から、牛乳・乳製品に含まれる栄養素には、人々の健康維持と増進に欠かすことのできない重要な役割のあることが分かっています。具体的な作用は、次のとおりです。
(1)体をつくる……人間の体(筋肉・臓器・骨・歯・皮膚・脳・血管など)を構成する成分はたんぱく質です。そして牛乳・乳製品には、アミノ酸バランスに優れた良質のたんぱく質が豊富に含まれています。
(2)骨密度を高める……カルシウムやたんぱく質を十分に摂りつつ適度な運動をすることで、骨密度が高められます。これは、女性に多い骨粗鬆症の予防にもつながります。
(3)腸内環境を整える……牛乳・乳製品に含まれる乳糖は腸内の善玉菌を増加させ、腸内環境を改善します。女性に多い便秘の解消や、肌荒れ防止にもつながります。
(4)肌を守る……ビタミンAには、皮膚や目を健康に保ち細菌に対する抵抗力を高める働きがあります。またビタミンB2は別名「発育ビタミン」「美容ビタミン」とも呼ばれ、肌の新陳代謝には欠かすことのできない栄養素です。
牛乳・乳製品のこうした働きを十分引き出すために、「3‐A‐Day」では、1日あたりの牛乳・ヨーグルト・チーズそれぞれの摂取量として、(図2)のような目安を設定しています。
毎日これくらいの量を摂っていれば、栄養素はそれぞれの役割を十分に果たしてくれます。加えて、これまで不足しがちだった栄養素も、しっかり補えてしまうというわけです。

図2「3-A-Day」の3品の摂取目安量
ライフスタイルに合わせた無理のない心掛けを
現代人の悪しき食習慣のひとつに、朝食などを抜く「1日2食」があります。健康を考えれば基本は1日3食。ただ、どうしてもそれが難しいという場合には「3‐A‐Day」が大きな助けとなります。
手軽でしかも栄養バランスに優れた牛乳(図3)・ヨーグルト・チーズは、1食抜いてしまった時の間食用としても最適です。また食事にカレーライスやラーメンなどの一品ものを食べる場合にも、一緒に牛乳を飲んだりデザートにヨーグルトを追加するだけで、栄養バランスは格段によくなります。
現代社会は、飽食に次いで「飽食がゆえの栄養失調」の時代だといわれます。こうした現象は若い世代に顕著で、特に20代で1人暮らしをする人の栄養不足は深刻な問題です。
けれども「3‐A‐Day」を心掛けることで、食事の栄養バランスはとてもよくなります。たとえば1人暮らしの20代女性の平均的な栄養摂取量に牛乳・乳製品を3品追加すると、ビタミンCや鉄を除いて、1日に必要な栄養摂取量を十分上回るという結果も出ています(図4)。
一般にカルシウムの摂取だけが注目されがちな牛乳・乳製品ですが、「3‐A‐Day」の目的はそれだけではありません。さまざまな栄養素を含んだ牛乳・乳製品を食生活にうまく取り入れることで、食事全体の栄養バランスを改善しようということなのです。
あまり堅苦しく考える必要はありません。牛乳・ヨーグルト・チーズのどれかを、気づいた時に食べる――「3‐A‐Day」はそんな日々のちょっとした心掛けなのです。

図3 食品1回分の栄養素量(牛乳を100とした場合)