2023年 年頭のご挨拶

お知らせ

2023年 年頭のご挨拶

 明けましておめでとうございます。

 年頭にあたり、新年のご挨拶を申し上げますとともに、皆様方には、日頃からJミルクの事業に対して、ご支援とご理解を頂き、心より御礼申し上げる次第です。

 さて、昨年は、コロナ禍とウクライナ危機に加えて、米国の金融引き締めに伴う急激な円安が資材や原料の高騰に拍車をかけ、酪農乳業の事業環境は大変厳しいものとなりました。一方、牛乳乳製品の消費は、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、物価高による食品全般への生活防衛意識の高まりから、低迷して推移しました。
 Jミルクとしても、乳業者に拠出頂いた基盤強化基金の一部を活用して、生産者の生産抑制を支援するとともに、牛乳消費促進対策を実施したところです。

 11月からの牛乳やヨーグルトなどの価格改定は、消費をさらに押し下げることが懸念されましたが、幸いにも消費への影響が想定より限定的なものに留まり、生産者の皆さんのさらなる生産抑制の努力によって、この年末年始も、大きな混乱なく、乳製品への処理を進めることができました。また、Jミルクが農林水産省とともに立ち上げました「牛乳でスマイルプロジェクト」にも業界内外から多くの参加も戴きました。関係する皆様方の取り組み、ご支援に、改めまして深く感謝申し上げる次第です。

 これまで懸案であった乳製品の需給改善は、生産者の生産抑制と過剰在庫解消対策の効果により、一筋の光が見えつつあります。コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されるところですが、インバウンドや全国旅行支援による業務用需要の一層の回復も期待されます。
 また、農林水産省から令和4年度補正予算や令和5年度価格関連対策で、需給ギャップの早期改善を後押しする対策や、今年度に引き続き、在庫の削減推進も措置いただきましたが、乳製品向け全用途での乳価引き上げによる乳製品全体への消費の影響も懸念されます。道半ばの需給改善にしっかりと取り組むことが必要です。併せて、食料安全保障の観点からも自給率の向上を図るよう、消費者や小売流通の皆さんに、業界のおかれた厳しい事業環境にご理解をいただくよう、丁寧な説明を行うことが重要と考えます。

 一方、世界の酪農乳業との関係では、私たちは、GDP(グローバルデイリープラットフォーム)が提唱する環境負荷低減に向けた「酪農乳業ネットゼロへの道筋」に、積極的に関与していくことを既に表明しています。昨年、開催されましたIDF(国際酪農連盟)のサミットやグローバルデイリープラットフォームの会議での議論の中心は、持続可能性の取り組みであり、今年の国連気候変動枠組条約会議、いわゆるCOP28に向けて、成果を示していく実践の段階に移っています。日本としても、酪農乳業の価値を消費者の皆さんに伝えて共感を得るためにも、世界の酪農乳業と歩調を合わせて、社会的ニーズに対応した栄養や環境への取り組みを前へと進め、業界の姿勢や努力を社会にしっかりと示していく必要があると考えます。

 2023年はJミルクの第4期中期3カ年計画の最終年になります。
 コロナ禍やウクライナ危機等が人々の価値観や社会環境に影響し、酪農乳業を巡る事業環境は大きく変化しました。政府も食料安全保障強化の観点から、食料・農業・農村基本法の検証・見直しに取り組むとともに、環境と調和する「みどりの食料システム戦略」推進の動きを加速させています。さらに、年末にはアベノミクス以降の異次元の金融緩和の修正の方針が日銀から示され、資材・原料高の要因となった為替にも大きな変化が生じています。

 こうした政府・経済の動きを注視しつつ、Jミルクが2019年にまとめた「戦略ビジョン」で示した中長期的な行動計画について改めて検証を行い、次期酪肉近の議論に繋げていくことが重要と考えています。Jミルクは、業界内のリアルな情報交流の場を設定しつつ、関係者による共同行動を業界の課題解決につなげるよう、新たなスタートの大切な年として役割を果たして参りたいと考えます。

 Jミルクは、業界の発展に向けて、真に力を発揮する組織を目指してまいりますので、本年も引き続き、皆さまのご支援、ご協力を頂きますよう、お願い申し上げます。
 一般社団法人 Jミルク
会長 川村 和夫