課題の洗い出し

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酪農乳業の未来を動かすには、
業界全体での課題の共有が必要です

酪農と乳業は、どちらか一方が欠けても成り立たない産業です。この産業が長く続いていくためには、酪農と乳業それぞれの関係者が、業界の課題について共通の理解をもつことが欠かせません。
そのためJミルクは、業界として優先的に取り組むべきテーマを明らかにし、限られた力をどこに集中すべきかを示す道しるべとして「戦略ビジョン」を策定し、7つの「重要課題(マテリアリティ)」を示しました。

酪農乳業の目指すべき未来、
そして求められる視点と行動とは

そもそも「持続可能な酪農乳業」とは、どのようなものなのでしょうか。

まず、十分な人材を確保し、設備投資を行い、業績を伸ばしていける「成長性」があること。さまざまな困難や脅威に耐える「強靭性」があること。
そして、社会からの要求に応え、社会の一員としての責任を果たす「社会性」を備えていることが大切です。
これらの3つの「戦略視点」から、「成長し、強固で、社会の要求に応えられる産業」という、酪農乳業の目指すべき姿が導き出されました。

そして、それを実現するためには、一人ひとりの行動の積み重ねが大切です。
経営理念・性別・地域・事業規模など、さまざまな価値観やスタイルの違いを認める「多様性理解」、リスクを先送りにせず未来を見据えて計画的に行動する「未来志向」、自らを律し最適な行動を考えて実践する「自律性」。こうした「行動特性」に基づく行動が、未来を動かしていくのです。

力強く成長し信頼される持続可能な産業を目指して~わが国酪農乳業の展望ある未来に向けた戦略ビジョン~

持続可能な発展のための3つの戦略視点 成長性 社会性 強靭性
戦略視点を支えるために求められる行動特性 多様性理解 未来志向 自律性

真の課題を見つけ出すための、
たくさんのステップ

未来を動かし、持続可能な酪農乳業を実現するために、本当に重要な課題とは何か。
国内外の動きを踏まえつつ、実効性があり、業界全体が納得して取り組める課題を洗い出すために、次の手順で重要課題(マテリアリティ)が決定されました。

  1. 01 Jミルク事務局

    国際基準や過去の議論をもとに、日本の酪農乳業の持続可能性の向上に必要な課題を抽出し、24個に整理

  2. 02 戦略ビジョン推進特別委員による評価

    24個の課題候補それぞれを、「酪農乳業界に対する影響度」「ステークホルダー(社会)に対する影響度」の2つの観点から5段階評価し、「マテリアリティマップ」(右図)として視覚化。酪農乳業界とステークホルダーに対する影響度がともに3.0を超える課題を選出し、マテリアリティ案として7つに整理

  3. 03 外部有識者

    ステークホルダーの代表である外部有識者と、消費者・流通・サステナビリティ・行政の視点から、マテリアリティ案について意見交換

  4. 04 戦略ビジョン推進特別委員会

    外部有識者の意見を踏まえ、文言修正や留意事項の設定を実施

  5. 05 理事会

    マテリアリティ決定

マテリアリティ設定に向けた評価

項目内容 委員全体の平均
国際的に重視されている
評価項目
業界 ステークホルダー
1 温室効果ガス(温室効果ガス排出量の削減) 3.4 4.1
2 土壌養分(施肥等による土壌養分の管理) 2.6 2.5
3 土壌の品質と保持(最適な生産性が得られるような土壌保全) 2.9 2.4
4 水の利用可能性と水質(水の使用効率と水質の管理) 2.7 2.9
5 生物多様性(生物多様性の保全・回復・改善) 1.7 2.1
6 労働条件(労働者の安全と権利の確保) 3.6 3.6
7 アニマルケア(AW等に配慮した飼養管理) 3.1 3.3
8 廃棄物(廃棄物の削減や再利用・再資源化) 2.5 2.9
9 市場開発(生産者に対する牛乳乳製品市場の機会と課題の情報提供) 2.9 2.7
10 農村経済(農家が持続可能な生産を出来るような乳代の確保) 4.2 3.3
11 製品の安全性 と品質(牛乳乳製品の安全性と品質の確保) 3.7 4.4
国内の観点からみた
評価項目
業界 ステークホルダー
12 安全・安心、良質な牛乳乳製品の安定的な提供 3.7 3.9
13 食生活・健康への貢献 2.9 3.5
14 地域社会への貢献と阻害 2.8 3.3
15 環境変化への適応力の強化 2.9 2.6
16 エネルギーの管理 2.2 2.1
17 牛乳乳製品の消費の維持拡大 4.3 3.3
18 乳の価値向上や可能性の拡大 3.5 3.2
19 牛乳・乳製品ロスの削減 2.4 2.4
20 日本酪農の生産基盤の強化・維持 4.4 3.5
21 有機酪農の推進 1.8 2.1
22 循環型酪農の推進 3.2 2.9
23 乳牛への抗生物質の使用 2.4 2.7
24 日本の酪農乳業の意義と持続可能な取り組みの見える化 2.9 2.9

マテリアリティスコアリングMAP

マテリアリティスコアリングMAP
  • 当該課題が、社会の一部を構成する酪農乳業界として「責任を果たすべきものか」「生活者の価値の向上やより良い社会づくりに貢献できるものか」「解決を期待されているものか」について、業界とステークホルダーへの影響を点数付け。戦略ビジョン推進特別委員14名の平均評価点によるスコアリング 生産者委員7名 乳業者委員6名 有識者1名

重要課題としてまとめられた酪農乳業の未来への道筋

類似のマテリアリティを整理・統合し、
最終的に7項目に整理しました。

  • 日本の酪農乳業の根幹的課題への対応

    • マテリアリティ1
      20

      日本酪農の生産基盤強化・維持

      (10.農村経済を含む)

    • マテリアリティ2
      12

      安全・安心、良質な牛乳乳製品の安定的な提供

      (11.製品の安全性と品質(牛乳乳製品の安全性と品質の確保)を含む)

    • マテリアリティ3
      17

      牛乳乳製品の消費の維持拡大

      (18.乳の価値向上や可能性の拡大を含む)

    日本の酪農乳業の根幹的課題への対応

    :日本酪農の生産基盤の維持・強化 安全で安心される良質な牛乳乳製品の安定的な提供 牛乳乳製品の消費拡大

    酪農と乳業がこれからも続き、牛乳乳製品を安定供給していくためには、どうしても守らなくてはならない「根本」があります。
    まず、生産基盤をしっかり維持し強くしていくことです。酪農家が減ったり、経営が続けられなくなったりすれば、国産の牛乳乳製品そのものが成り立たなくなってしまいます。
    2つ目は、牛乳や乳製品の安全性や品質を保つこと。消費者から信頼され、安心して選ばれる製品をつくることは、ものづくりの基本です。
    3つ目は、人々に牛乳や乳製品をもっと身近に感じてもらい、消費を拡大することです。そのために、消費者をはじめとするステークホルダーとのコミュニケーションをより深めていく必要があります。
    これらは、日本の酪農乳業が未来へ続くための土台となる大切な課題です。

  • 社会的要求への対応

    • マテリアリティ4
      1

      温室効果ガス(温室効果ガス排出量の削減)

    • マテリアリティ5
      6

      労働条件(労働者の安全と権利の確保)

    • マテリアリティ6
      7

      アニマルケア(アニマルウェルフェア等に配慮した飼養管理)

    社会的要求への対応

    温室効果ガス排出量の削減 労働者の安全と権利の確保 アニマルウェルフェアに配慮した飼養管理

    酪農乳業がこれからも多くの人に支持され、社会の中で信頼を得ていくためには、社会が強く求めていることにきちんと応えることが欠かせません。
    まず、温室効果ガスを減らしていくこと。気候変動は全世界的な課題であり、それは酪農乳業にとっても例外ではありません。
    2つ目は、働く人の安全と権利をしっかり守ること。安心して働ける環境づくりは、業界を支える人材や消費者から信頼を得るための条件です。
    3つ目は、動物の健康や快適さ(アニマルウェルフェア)に配慮した飼育を行うこと。乳を生み出す牛が健やかに過ごしているかどうかについて、関心が高まっています。
    これらの課題に応えていくことで、酪農乳業は消費者、流通、行政など、あらゆる人々の支持を得られるようになると考えています。

  • 見(魅)せる化

    • マテリアリティ7
      24

      日本の酪農乳業の意義と持続可能な取り組みの見える化

      (13.食生活・健康への貢献、14.地域社会への貢献、22.循環型酪農の推進に係る見える化を含む)

    見(魅)せる化

    日本の酪農乳業の意義と持続可能な取り組みの見える化

    日本の酪農乳業がどんな価値をもち、どのような努力を続けているのか、業界内外の人々に知ってもらうことも大切です。そのために進めるべきことは、ただ情報を「見せる」だけでなく、酪農乳業の魅力そのものを「魅せる」ように伝えていく「見(魅)せる化」です。重要課題(マテリアリティ)への取り組みをわかりやすく、丁寧に発信します。消費者や流通など外部に向けて理解を広げるだけでなく、酪農家や乳業者が自らの仕事に誇りと自信をもち、産業全体としての一体感を高めることを目指します。