コラム、「ミルクの国の食だより」の第7回をお送りします。
外国の普段の食生活は、どのようなものなのか興味がありますね。さてフランスでは?
フランスの統計調査からも見える「普段の食事」をご紹介します。
グルメなイメージ?
前菜・メイン・チーズ・デザートにワイン…
フランス料理というと、フルコースの豪華な食事を思い浮かべ、フランス人は毎日そんな食事をして皆グルメだ!というイメージがあるかもしれません。
フランス料理というと、フルコースの豪華な食事を思い浮かべ、フランス人は毎日そんな食事をして皆グルメだ!というイメージがあるかもしれません。
でも、このようなフランス料理を毎日食べている人は正直ほとんどいません。
いったいフランス人は普段、どのような食事をしているのでしょうか。
いったいフランス人は普段、どのような食事をしているのでしょうか。
朝食
定番は甘い菓子パン
朝食の代表的なパンはクロワッサンやパン・オ・ショコラなどのヴィエノワズリー(Viennoiserie=バターをたっぷり使った菓子パン)や、タルティーヌ(Tartine)。
タルティンはバゲット(フランスパン)を食べやすい長さに切り、バターとジャムまたはハチミツなどを塗っただけのものです。
タルティンはバゲット(フランスパン)を食べやすい長さに切り、バターとジャムまたはハチミツなどを塗っただけのものです。
飲み物はカフェ・オ・レやコーヒー、紅茶。
また、朝食にシリアルを食べる人も多くいます。
また、朝食にシリアルを食べる人も多くいます。
甘い系の朝食が定番で、卵やベーコンを焼いたりする人はあまりいません。
■バターとジャムを塗ったタルティン。はちみつやチョコレートペーストを塗ったり好きな味で
昼食
夕食より重くなる傾向も
カフェやレストラン、学食で食べる人、ファストフードを利用する人、近くの店でサンドウィッチを買う、もしくは家から持参する人など、いろいろです。
就労している人でも、一旦自宅へ戻って昼食をとる人もいます。
ちなみに子どもも学校給食を全員が食べるわけではなく、家で食べてから再登校する児童も多くいます。
ちなみに子どもも学校給食を全員が食べるわけではなく、家で食べてから再登校する児童も多くいます。
昼はサンドウィッチだけ、パスタだけ、サラダだけ、と単品で済ませる人がいる一方で、肉料理や魚料理を昼食でとる人が多く*1、どちらかというと夕食より重くなる傾向のようです。
といってもフルコースというわけではなく、メイン(主菜)に付け合せ(副菜)+デザートという感じです。
■町のサンドウィッチ屋。サンドウィッチのパンはバゲット、バターやマヨネーズはぬられていない。具はハム&チーズ、ツナ&野菜、チキン&卵などいろいろ。
■友人宅での昼ごはん。家庭料理は牛肉のグリルとじゃがいものグラタン。シンプルだが皆でいっしょに食べるのがいい
夕食
自宅で家族そろって
夕食はほとんどの人が自宅で家族といっしょにとります。
働いている女性が多いので、平日は簡単なものを準備する場合がほとんど。
パスタ、冷凍のピザ、スープ、キッシュ、ハム、テイクアウトの惣菜などの中から、簡単に出せるものが1品と、あればちょっとしたサラダを付ける程度です。
足りなければ、バゲットにチーズをのせてつまんだり。
デザートにはヨーグルトが多く、フロマージュブラン、プティスイス*2も定番です。
「誰かと一緒に」が大切
大体、普段の食事はこんな感じで意外なほど地味でシンプル。
たとえ食事の中身が簡素なものだったとしても、一人ではなく、必ず誰かと食べることを最も大切にするフランス人。
職場の机で一人で食べたり、時間の合間に食べたり、何かをしながら食べることを嫌い、皆で食卓を囲んで過ごす時間を楽しみます。
職場の机で一人で食べたり、時間の合間に食べたり、何かをしながら食べることを嫌い、皆で食卓を囲んで過ごす時間を楽しみます。
日本を始め、多くの国で食事の時間が短縮され、家族ととる時間が減っている中、フランス人の多くが現在も共有し変わらずにいる伝統的な食の習慣です。
*1 Individuelle Nationale des Consomations Alimentaires 2 -INCA 2 2006-2007-(第二回国民栄養調査)/Afssa(フランス食品衛生安全庁)、食事別食品別消費の分布より 。
詳細はこちら→Individuelle Nationale des Consomations Alimentaires 2 -INCA 2 2006-2007
詳細はこちら→Individuelle Nationale des Consomations Alimentaires 2 -INCA 2 2006-2007
*2 プティスイス…フレッシュチーズの1種で味はフロマージュブランよりも濃厚。
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。