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j-milkリポートvol-43より

ミルクと生きるひと Vol.3
We Value Our Relationship.

さまざまな立場で酪農乳業に携わっている人々の思いを、誌面 を通じて共有する新企画です。
ミルクと生きる皆さんの言葉から、 持続可能な酪農乳業をつくるためのヒントを探っていきます。

「牛乳の魅力は、『つなぐ力』だと思う」

  • ミルクマイスター®高砂 (たかさご)さん


    デザイナー
    株式会社SLEE PRODUCTION 代表取締役
    1983年山形県寒河江市生まれ。名古屋学芸大学デザイン学科卒。広告制作会社を経て独立後、“牛乳をこよなく愛するグラフィックデザイナー”として活動。デザインやイベント、ウェブメディアなどを通じて牛乳の魅力や新たな楽しみ方をポップに発信し続ける。
    公式サイト https://milkmeister.jp

大好きな牛乳の良さを伝えて みんなも好きになってほしい

  • 高砂さんが牛乳に興味を持つようになった経緯を教えてください。

 家の冷蔵庫に牛乳が常に入っていて、物心ついたころから毎日飲んでいました。僕にとっては「空気・水・牛乳」というくらい身近な存在でしたね。進学して一人暮らしを始めてからも欠かさず飲み続けていました。
 大学で自分の好きなものについて調べてブランディングを検討する授業があり、そこで直感的に思い浮かんだのも牛乳です。消費量が減少していることを知り、自分にも何かできないかと使命感のようなものを持って考えるようになりました。
 卒業後は広告制作会社に就職したのですが、多忙な職場で食生活を意識しなくなり、体調も崩しました。4年ほど経ったある日、自分がいつの間にか豆乳を飲んでいることに気づいたんです。一番好きなものすら忘れてしまっていたことがショックで、「牛乳が好きなので辞めたい」と申し出ました。上司からは「意味がわからない」と言われましたけど。
  • 幼少期の一枚。
    「クラスで身長順に並ぶといつも最前列。牛乳を飲んで大きく育ってという親の思いもあったはず」
  • 大学時代。
    「牛乳のブランディングの授業では、ランチタイムに手軽に飲めるボトル入り商品(写真右)をデザインしました」 
  •  その後、ミルクインフルエンサーとして多方面でユニークな活動を展開されています。いくつか事例をご紹介ください。
 退職後に個人事務所を設立してデザインの仕事を続けながら、牛乳への恩返しのつもりで半ば趣味として活動を始めました。自分の好きなものをもっと好きになってほしい、みんなに共感してほしいという気持ちが、今に続く原動力になっています。
 2010年に練馬区・江古田に牛乳雑貨店をオープンし、数年間はここを拠点にオリジナルプロダクトや絵本などの制作を行っていました。その後、牛乳の生産現場をもっと知りたいと考え、2014年にフリーペーパー「MILK新聞」を発刊、各地の酪農家さんを取材するようになりました。
 そこで知り合った山形の酪農家さんと共同で立ち上げたのが「ずっと夢MILK PROJECT」です。酪農・牛乳と地域の魅力を組み合わせて新たな価値を提案する活動で、山形の果樹の廃材を再利用したチーズボードなどをつくっています。
 最近では、2019年に牛乳とアートの複合的イベント「ミルクサーカス ケビンミルク」を開催。2020年には牛乳をよりおいしく味わうための専用グラス「ミ器」を、クラウドファンディングを利用して開発しています。
  • 牛乳雑貨店「ケビンミルク」で。
    「江古田は昭和の風情が残るいい街。初めて訪れたとき感動で涙が出たほどです」
  • グラフィックデザイナーとしても活躍中の高砂さん。
    「建物の外観がミルクっぽいからここに決めました」という自身のデザイン事務所前で。

乳業関係者自らの行動が 社会への強いメッセージに

  • 昨年8月には、監督・脚本・作画を担当されたアニメ作品「ミルクのケビン THE MOVIE」が公開され話題になりました。

 僕も幼少期に観たアニメの影響で好きになったものがあるので、子どもたちにアニメを通して牛乳の魅力を伝えて、好きになって飲んでもらいたいと考えました。酪農家さんがどのように牛を飼って牛乳をしぼっているかなど、生産のことを知るだけでも、給食の牛乳への見方が変わるのではないかと思います。
 エンタメに振りきった内容なのでいろんな意見があるとは思いますが、子どもたちから感想の手紙が届いたりするとうれしいですね。学校での上映会など、さまざまな場をつくって今後も多くの子どもたちに観てもらいたいです。
  • アニメ「ミルクのケビン」のキャスト陣と。
  •  コロナの影響が長引くなか、牛乳乳製品の需要を拡大するための新しいアイデアも求められています。
 「ずっと夢MILK PROJECT」の一環で、3年前から都内の美術専門学校で牛乳をテーマにした特別授業を行っています。2021年は年末年始の需給問題を説明して、生徒さんたちに課題解決に向けたアイデアを考えてもらいました。SNSの新たな活用法など興味深い案もあったので、酪農乳業界に提案して実現できたらいいなと思っています。
 今回の「#1日1L」のように、業界関係者自身の行動を促すことも重要と感じます。酪農乳業に関わる人は全国に大勢いるので、皆さんが協力すれば消費拡大に直接的な効果がありますし、関係者自ら実践する姿は消費者にも強いメッセージとして伝わると思います。
 あと僕個人としては、スーパーの売り場で流せるような、牛乳の歌をつくる計画があります。魚や肉をテーマにしたおなじみの曲はあるけど牛乳にはないので、僕が勝手につくって広められたら面白いと思っているんです。
  • 阿佐ヶ谷美術専門学校で牧場のブランディングをテーマにした授業を行っている。
    「僕にはない発想が出てきて面白いです」

自分らしい表現を模索して 牛乳の魅力発信に関わりたい

  • 酪農乳業界へのメッセージをお願いします。
 牛乳はおいしくて栄養豊富な飲み物ですが、僕は牛乳にしかない魅力は「つなぐ力」だと思っています。牛乳自体が料理やお菓子など何とでもつながれますし、人と人をつなぐ力もあります。
 僕も牛乳を通していろんな人と出会うことができました。SNSでは「私も牛乳好きです」の一言で、海外のミルクファンともつながれます。
 牛乳をもっと好きになってほしいと願うファンがこんなにいて、目標を共有して手をつないで活動できるのは、牛乳ならではの力です。これを情報発信や消費拡大などにも生かしていけばいいと思います。
 もちろん僕も一人のミルクファンとして、牛乳の良さや魅力を発信し、課題解決に向けたお手伝いをしていきます。もっと広く伝えられるように、自分らしい表現の方法も模索しながら活動を続けていきたいですね。
  • お子さんも牛乳が大好き。
    「僕がおいしそうに飲むのを見てほしがるんです。飲ませすぎと妻に叱られるので、最近は子どもに隠れて飲むこともあります(笑)」

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