ウワサ12 粉ミルクは赤ちゃんの体に悪い

牛乳の気になるウワサをスッキリ解決!

ウワサ12 粉ミルクは赤ちゃんの体に悪い

乳児用調製粉乳は、成分を母乳に近づけた特定用途食品です。

● 赤ちゃんには赤ちゃん用の食品を
赤ちゃんの消化管は未成熟なため、いきなり食べることはできず、母乳から栄養を取り入れます。乳児にとって理想の栄養は、もちろん母乳です。母乳は子どもの発育に適した成分組成を持ち、ヒトの母乳はヒトの子の、他の哺乳動物の場合はその哺乳動物の子の成長に最も適した最高の食品です。

しかし、母乳が出にくいなど、何らかの理由で母乳を与えられない場合には、母乳に代わる乳児用調製粉乳(粉ミルク)を与えることができます。

牛乳や粉ミルクが赤ちゃんの健康を害するという説がありますが、これには大きな誤解があります。育児用調製粉乳は牛乳を単に粉状にしたものではありません。乳児用調製粉乳は、牛乳を原料にしていますが、組成や成分量は母乳に近づけてあり、体の未発達な乳児に与えることができる安全な食品です。

● 乳児用調製粉乳の成分組成は母乳に近い 
乳児用調製粉乳は母乳と同じように、それを飲むだけで赤ちゃんがある時期まで育たなければならないため、原料の牛乳の栄養成分を置換、強化し、過剰なものやアレルギーの原因となる成分(β-ラクトグロブリンなど)を減らすなどして、組成を母乳に近づけています。 
なお、乳児用調製粉乳は、組成を法律(乳児用調製粉乳たる表示の許可基準)で定められた「特別用途食品」(*1)です。 

● 乳児用調製粉乳の特徴(※1) 
たんぱく質 
カゼイン40%、乳清たんぱく質60%と母乳と同じ割合にし、アミノ酸の組成も母乳に近づけています。 

炭水化物 
乳糖を7%にまで添加して母乳に近づけ、母乳に微量ながら含まれているミルクオリゴ糖(ガラクトオリゴ糖など)も加えています。

脂質 
脂肪酸の組成が母乳と牛乳では異なるため、調製粉乳は牛乳脂肪の一部を植物性脂肪に置換し、リノール酸など必須脂肪酸のバランスを母乳に近づけています。

ミネラル 
ミネラル分が多いと、腎機能の未熟な乳児には負担が大きいので、調製粉乳はこれらを低減し、カルシウムとリンの割合も母乳とほぼ同じ比率にしています。

ビタミン 
ビタミン類を強化しています。とくに母乳栄養児に多いビタミンK欠乏性出血症を防ぐためにビタミンKを強化しています。 

用語 
*1 特別用途食品
乳児、幼児、妊産婦、病者などの発育、健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示することができる食品。 
特別用途食品として表示するには、国の許可を受ける必要がある。 

出典 
※1 一般社団法人日本乳業協会HP