ウワサ7 市販の牛乳を子牛が飲むと死ぬ

牛乳の気になるウワサをスッキリ解決!

ウワサ7 市販の牛乳を子牛が飲むと死ぬ

市販の牛乳を子牛に飲ませてもまったく安全です。

● 牛乳が原因で死ぬことは決してない
市販の牛乳を、母牛から授乳するのと同じように温めて飲ませても、子牛の健康にはまったく影響はありません。実際に、生後4.18日の子牛に市販牛乳を4.10日間、1日4リットル(2リットル×2回)与えましたが、健康状態にまったく問題はなく、その後も順調に生育しました。

● 生まれた直後の子牛には母牛の「初乳」を与える
上記とは直接関係のない話ですが、生まれた直後の子牛が飲む乳は「初乳」といって特別なものです。 
子牛が生まれて初めて飲む「お乳」は、通常の母乳とは成分の違う「初乳」を与えなければなりません。なぜなら、子牛は胎児のときに母親から免疫たんぱく質を受け取れないからです。ちなみに人間は、胎児のときに胎盤を通じて免疫たんぱく質を受け取ってから生まれてきます。
母牛の分娩直後.5日間の母乳は「初期初乳」といい、免疫たんぱく質を大量に含んでいます。生まれたばかりの子牛にはまずこれを与え、免疫力をつけて感染症などから守る必要があります。

参考資料
・ NRC乳牛飼養標準2001年. 第7版, デーリィ・ジャパン社. 221. 
・ ホルスタイン種哺乳牛への市販牛乳給与試験. 独立行政法人家畜改良センター. 2006. 

もっと知りたい! 乳牛のライフサイクル

牛は人間と同じ哺乳動物の仲間です。子牛を産まなければ、乳は出ません。
めす牛が誕生してから出産までは次のような流れになります。
1. 誕生:約40kg。生まれて約30分も経つと、自分の足で立ちます。
2. 離乳:生乳や代用乳(生乳の代わりの人工乳)を与えられ、感染症などにかからないよう飼育されます。約2か月後、離乳します。
3. 育成:14〜16か月は育成牛として育てられます。
4. 人工授精:生後約1年半で最初の人工授精を行います。
5. 出産:初産は生後約2年半後です。
6. 搾乳:産後300〜330日は搾乳期間となります。初産後約40日で次の人工授精を行います。
7. 乾乳:次の出産前2〜3か月は乳をしぼらず休ませます。

出産から次の出産までは12〜15か月。これを1頭につき4回程度繰り返し、乳を搾らなくなった牛は食肉などに利用されます。

本来、牛の乳は子牛を育てるために出すもの。出産後、最初の5日間の「初期初乳」は、たんぱく質・ビタミンなどの栄養素や免疫たんぱく質が多く含まれるため子牛に飲ませ、工場には出荷できません。

分娩後6日目以降の「後期初乳」には出荷制限はありません。