需給安定に向けて-2022春

お知らせ

 春休みやゴールデンウイークにかけて、処理不可能乳(全国の乳製品工場での受け入れ能力を超え、余剰となってしまう生乳)の発生が懸念されていましたが、5月12日時点で特に大きな問題が起こったという情報は入っておりません。

 この春も酪農乳業の関係者は一致協力して処理不可能乳を出さない努力を続け、消費者の皆さまからは多大な応援、ご協力をいただきました。改めまして、深く感謝申し上げます。

 引き続き特設ページなどで、生乳需給に関する疑問にお答えしていくとともに、生産者団体や乳業メーカーなどの取り組み、また、特に子どもにとっての牛乳の栄養価値に関する情報などを掲載してまいります。

 今後とも毎日の食生活に牛乳・乳製品を取り入れていただきますよう、お願い申し上げます。

春休みやGWの生乳需給緩和に関するQ&A

(必要に応じて更新してまいります)

Q1. 年末年始に生乳廃棄の恐れについて話題になりましたが、春休みやGWにも生乳需給が緩和するのはなぜですか?

A.
生乳(牛からしぼったままの乳)の生産が増える()一方、新型コロナウイルス禍の影響で需要が低調で推移している()中、春休みやGWには牛乳の需要が一段と低くなる()ためです。

 日本の乳牛の大部分を占める「ホルスタイン種」は冷涼な気候を好みます。牛にとって4、5月は、春の過ごしやすい気候により身体への負担が少なく、一年の中で生乳生産量が最も多い時季となります。さらに、生乳生産量は前年同期と比べても増えており、3~5月の合計で2.5%増と見込まれています。これは国産生乳への需要に応えようと、生産者がコロナ禍以前から増産に取り組んできた結果です。
【参考】①生乳生産量
 例年、暖かくなるにつれて牛乳類の需要が徐々に高まりますが、コロナの影響が続いており、今年は消費が低調です(牛乳の3~5月の需要は、前年同期比約1%減と見込まれています)。飲食店やインバウンドの需要も落ち込んでいます。
【参考】②牛乳の消費動向
 春休みやGWには、学校給食がありません。また、GWには多くの会社や官公庁なども休みで社会経済活動が止まりますので、牛乳の需要が一時的に大きく減ります。 
【参考】③学校給食用牛乳(学乳)向け生産量(旬ごと)

Q2. 生乳廃棄にならないよう、酪農家や乳業メーカーはどんな取り組みをしていますか?

A.
酪農家や乳業メーカーは、例えば次のことに取り組んでいます。
・ 乳牛の体調に配慮し、生乳出荷量の計画的な抑制
・ 乳製品工場の処理量の最大化
・ 業界関係者自らによる消費拡大活動
特に生乳の出荷抑制に関しては、生産者団体が▽増産抑制▽乳牛の早期更新奨励などに取り組んでおります。

Q3. 生乳が余るのであれば、バターなどの乳製品にすれば廃棄せずにすみますか?

A.
生乳は、腐敗しやすいという特性も考慮し、おおむね次のような流れで牛乳や乳製品に加工されています。
生乳の需要の半分以上は、賞味・消費期限が短い牛乳類が占めており、日々、牛乳類の製造のために必要な量をまず確保します。ただ、日々の天候や時季によってその必要量は変動します。その変動に応じて、貯蔵性の高い乳製品、特にバターや脱脂粉乳の製造に振り向ける量を増やしたり減らしたりすることで、調整をしています。

例年、春休み・冬休みやGWなど需給が緩和する時季には、バターや脱脂粉乳に振り向ける量を増やして対応します。今年は、その量がコロナ禍の2年余の中でも最高水準まで多くなりそうだと見込まれています。ただし、乳製品工場の処理能力には限りがあり、それをオーバーすると生乳を受け入れ切れずに行き先をなくしてしまいます(行き先を失った生乳は「処理不可能乳」と呼ばれます)。バターや脱脂粉乳を製造したくても、この春休みやGWには一時的に、工場の能力を超えてしまう可能性があるということです。なお、乳製品工場を新しく建設にするにも、コストや施工にかかる時間などが必要ですので、すぐには新設するのは困難とされております。

Q4. 生乳が余るのなら、生産量自体を減らすことはできないのですか?

A.
「生乳生産量を減らすこと」≒「乳牛頭数を減らすこと」ですが、これは酪農家にとって大変つらいことです。もちろん、収入が減ることによる生活への影響もありますが、酪農家は乳牛を毎日世話をする中で愛着を持っていますので、まだ活躍できる牛を人間の都合で搾乳を中止し、肉用として出荷することは精神的な負担となります。さらに、今後、コロナ禍の収束などで生乳需要が回復して、国産生乳の生産量を増やすことが求められた場合にも、乳牛を増頭するための種付けから搾乳開始までは約3年の期間を要しますので、乳牛の頭数を大きく減らすのは、需給バランスという観点からも難しい課題があります。

過去に生乳需給が緩和し、減産した際には、その後に生産がすぐ回復せずにバターの供給不足などにつながった経緯があります。このことから、業界としては回復基調にある生産基盤を極力維持しつつ、この難局を乗り越えようと取り組んでいます。そのため、生産者による生産抑制も可能な限り酪農経営に悪影響を与えず、計画的に取り組むこととされています。

Q5. 昨年の春休みやGWにも、生乳需給が緩和していたのですか?

A.
春休みやGWは毎年、需給は緩和基調となります。昨年も一時的に需給調整が厳しくなる局面もありましたが、業界関係者の努力・協調で処理不可能乳は発生せずに乗り切れました。とはいえ、今年は昨年よりさらに生乳生産量が増加していることや、牛乳類の消費量が直近のトレンドを踏まえると昨年より減る見通しであるため、一層厳しい状況になる可能性が否定できません。

Q6. 生乳が余っているのに、牛乳や乳製品が安くならないのはなぜですか?

A.
Jミルクは牛乳や乳製品を販売しているわけではなく、これらの価格に関してコメントする立場にはありません。ただ、小売り価格の引き下げは、間接的に酪農家の経営にも影響すると考えられます。

参考として、農業経済学が専門の北海道大学大学院・清水池義治准教授は「仮に、小売価格を下げるという対応をとると、当然、乳業メーカーからスーパーに卸すときの価格を下げることになります。そうすると乳業メーカーの経営が苦しくなるので、乳業メーカーとしては酪農家から買い取る生乳の価格を安くしてほしいということになる。そういった形で負の影響が巡り巡って酪農家に及んでしまうということになると思います」とコメントされています。

Jミルクでは、今後も国産牛乳・乳製品の価値を一層広め、より分かりやすい情報発信に努めてまいります。

学校関係者向けリーフレット

学校が休みの「給食ない日」は、子どもたちが家庭で牛乳摂取していない実態があり、「給食ある日」と比較して牛乳200~400mLに含まれるカルシウム摂取が不足していることも報告されています。そこで、家庭や地域で給食のない日にも「牛乳を飲もう!」という呼びかけを通して、子どもの栄養問題の解決にも貢献していく取り組みを推進するため新たな情報を追加した資料も作成しましたので、学校や酪農乳業関係者の皆さまの活動でも是非、ご活用ください。

①“給食のない日”の牛乳、子どもは「飲む」「飲まない」ホントはどっち?

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 【宛先】MAIL:info@j-milk.jp

②学校給食がない時期はご家庭で牛乳を

学校が休みの日は子どもたちの成長に欠かせないカルシウムが不足しがちです。
家庭での牛乳利用が大切なことを、学校関係者・保護者などへ説明される際にご活用ください。

各団体・企業の取り組み

Jミルク会員団体をはじめ、中央酪農会議や日本乳業協会など各団体・企業からいただいた取り組みを掲載しております。

Jミルクの取り組み

農林水産省との連携

農林水産省と生乳需給の動向のほか様々なコンテンツを共有し需給安定に向けた取り組みを進めています。
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コミュニケーショングループ・生産流通グループ
MAIL: info★j-milk.jp(★を@に変更して送信してください)