第47回 乳脂肪をめぐる健康に関わる エビデンス:最近の動向

メディアミルクセミナー

2017年9月21日開催

「飽和脂肪酸」はエネルギー源として重要な栄養素の1つですが、一方で動脈硬化の進展につながる血中LDL-C(悪玉コレステロール)を上昇させる働きがあることが知られています。このことから、「飽和脂肪酸を多く含む牛乳の過剰摂取は動脈硬化を促進するのではないか」という考え方(仮説)があります。しかしながら、これが本当にそうなのかどうかは、長期にわたる疫学研究で確かめる必要があります。

ところが、ここ1、2年のうちに世界的に牛乳乳製品の摂取習慣と生活習慣病の発症との関連性の解析が進んできました。その結果、この仮説はどうも当たらないのではないかということが次第に明らかになってきています。

また、最近食塩の摂りすぎによる血圧の低下に向けて、カリウムの摂取を見直す動きが出てきていますが、牛乳はカリウムの供給源としても食品として優れた側面を有しています。

今回は、この件に関する最近のエビデンスについて、その動向を説明いたします。

(2017年9月21日開催)
講師:岡山 明 先生(おかやま あきら)先生
一般社団法人 適塩・血圧対策推進協会 代表理事
合同会社 生活習慣病予防研究センター 代表
医学博士

主な略歴 :1978年東京大学教養学部基礎科学科卒業、1982年大阪大学医学部医学科卒業、1983年大阪大学医学部助手(環境医学講座)、1 9 8 9 年大阪大学医学博士取得、1994年滋賀医科大学医学部助教授(福祉保健医学)、1999年岩手医科大学教授(医学部衛生学公衆衛生学)、2004年国立循環器病センター予防検診部長、2007年公益財団法人結核予防会 第一健康相談所長、2014年より国立循環器病研究センター予防健診部客員部長と現職を併任、2014年5月生活習慣病予防研究センター代表、2016年7月一般社団法人適塩・血圧対策推進協会理事長。

専門分野:「循環器疾患の要因、予防に関する研究や生活習慣病の予防のための健康教育の方法論やその普及に関する研究」。

著書:「個別健康支援プログラム成功のコツ 国保ヘルスアップ事業個別健康支援プログラム実施マニュアル」(社会保険研究所)、「健康教育マニュアル」共著(日本家族計画協会)など多数。

受賞:2014年「遠山椿吉記念第3回健康予防医療賞」、「第29回日本心臓財団予防賞」、「日本総合健診医学会 H26年度優秀論文賞」など。 

メディアミルクセミナーとは

メディアミルクセミナーは、主に、医学・栄養学・食品科学の専門家による栄養と健康をテーマにしたメディア向け勉強会で、年に3回程度開催されています。
セミナーでは、毎回、牛乳乳製品の持つ栄養健康機能についての最新の研究成果や知見も報告されています。
毎回のセミナーの内容は、下記のニュースレターとして取りまとめられています。
牛乳乳製品の栄養健康に関する最新の情報がご覧いただけますので、どうぞご活用ください。

第47回 乳脂肪をめぐる健康に関わる エビデンス:最近の動向

このセミナーの内容をまとめたニュースレターです。
  • 牛乳はいわば“完全栄養食” 人間に与える影響の解明は難題
  • 日本人の循環器疾患は脳卒中が多く虚血性心疾患が少ない 世界的にみて特異的
  • 脳卒中には高血圧、喫煙、糖尿病が影響 脂質異常は影響せず
  • これまで実証されてきた飽和脂肪酸の弊害は牛乳乳製品にあてはまるか?
  • 牛乳はLDLコレステロール値、HDLコレステロール値を共に高め脂質異常や動脈硬化に影響せず
  • 牛乳は血圧を下げ、糖尿病や脳卒中も予防世界の疫学研究のメタアナリシスで明らかに
  • 牛乳の中に多く含まれるカリウムが脳卒中予防に貢献
  • “ナト・カリ食” も活用し味付けを変えずに減塩を