座談会
「ニューノーマル時代」の持続可能な酪農の姿とは

j-milkリポートvol-37より

【パネリスト】
竹下 広宣 氏(名古屋大学大学院 生命農学研究科 准教授)
清水池 義治 氏(北海道大学大学院 農学研究院農業経済学分野 講師)
前田浩史(Jミルク 専務理事)

J-MILK REPORT Vol.37の紙上座談会では、新型コロナによる社会の変化も見据えて、「ニューノーマル(新常態)」に対応した持続可能な酪農乳業のあり方を議論しました。Web版では、紙面でご紹介できなかった内容を含む議事録をお届けします。
  • 座談会はリモート形式で実施。ミルクサプライチェーンの持続可能性から、新常態を踏まえた地域農業のあり方まで、竹下氏、清水池氏から多くの提言があった。

問題意識 〜ニューノーマル時代の社会条件の中で、今後、日本の酪農乳業はどのような新しい課題に遭遇するのか!〜

 前田浩史(以下、前田) 今日はどうもありがとうございます。最初に私から基本的な問題提起をさせていただきます。昨年の10月にJミルクから「提言」を出しました。SDGsのことも含めて持続可能な酪農乳業をいかにして目指していくのかという提言です。特に成長性と強靭性、これはレジリエンスという意味が中心ですが、あと社会性という3つの視点でビジョンと行動計画を示しました。 
このビジョンや行動計画を具体的に進めていく方法について先生方から、批判的なご意見も含めて頂戴したいということが座談会の元の狙いだったのですが、企画段階で新型コロナウイルスのパンデミックが起こってしまいました。現代社会に生きている人たちはほとんど経験のないことが起こったわけで、ますます社会の安全性とか持続可能性についての関心・興味・ニーズが高まった部分もあります。 
ただ、パンデミックが起こる前と後では、「提言」の重み付けが変化したような気がします。あるいは社会環境が変化していく、ここではニューノーマルという表現を使っていますが、そのように社会環境が変化するのであれば、「提言」もそれに対応して、持続可能な酪農乳業への産業的な展開も少し新しい視点を加えたり、取り組みの優先順位を変えたりしなくてはいけないのではないかと思います。 
ご案内のように、政府も感染防止の観点からの新しい生活様式を提唱しており、自覚的または社会的要請によってある程度定着していくのかなと考えています。 
そういうニューノーマル時代の社会条件の中で今後の日本の酪農乳業と考えたとき、事業環境がどう変化していくのか、どのような新しい課題に遭遇するのかといったことを、考えなくてはいけない時期になっていると思います。 
われわれの中には、パンデミックが収束して前と同じ状況になってしまうのではないかという思いもあるのですが、一方では、多くの関係者や専門家が、第2波、3波が起こってしばらくはこの状況は続く、その中で社会も新しい方向に向いていくと言われ始めています。したがって、やはり私どももニューノーマルの時代に対応して、どのように考え方を変化させるとか、新しい課題を整理するかということを今、ある意味では準備を始めなくてはいけないと思っています。 
読者である業界の皆さんも日常生活の中で、あるいは業務の中で、今後、自分たちの仕事や業界はどうなっていくのかということに関心も高いし、大胆な議論をスタートしなくてはいけないという心構えもできていると思います。そうした状況だからこそ、この座談会の意義があるのではないかと思います。竹下先生と清水池先生は、若手の研究者としてさまざまな提言もいただいていますので読者の関心も高いと思いますから期待をしております。それがこの紙上座談会の基本的な問題意識です。
そうは言っても非常に幅広い課題があるので、今回は先生方のご専門の分野も含めて2つの視点で議論をしていきたいと思います。1つはサプライチェーンのことです。いま1つは酪農としての地域システムの問題です。

ミルクサプライチェーンをめぐる三つの論点

まず1点目から議論を始めます。サプライチェーンの問題については、最近さまざまな災害や経済的変動などがあり、もともと脆弱性が強いサプライチェーンが相当に傷んでさまざまな経験をしたわけです。これに加えてコロナ問題が新しい社会要件として出てくるわけですから、サプライチェーンの強化なり、脆弱性をカバーするためのさまざまな取り組みや仕組みづくりが求められていると思っております。

さらに、今回牛乳の無償配布事業をやってみて分かったのですが、牛乳という基礎的な食品に対する社会的ニーズが相当あり、社会的な弱者の方々も含めて、栄養バランスの取れた牛乳という食品を満遍なく供給するという観点からすると、そういった新しい牛乳の需要や市場に対する供給システムが非常に脆弱であることも感じております。そういうところについて、想定する課題について先生方のご意見をいただきたいと思います。

さらに、サプライチェーンについて、特に3つ論点整理でお話ししておきます。

1つはグローバルサプライチェーンです。日本の牛乳乳製品マーケットの約4割が海外に依存しています。しかしご案内のように、基礎的な食品については輸出制限をかけるとか、FAOはこのコロナ問題によって従来以上に栄養のある食品や食料を手に入れることができない人口が増えるという警告を出しております。そういうフードセキュリティ問題も含めた、グローバルサプライチェーンの中での日本の位置付けです。

2つ目は、国内のサプライチェーン。これに関して今回経験したことは、需要の構造が全く変化したことです。生活行動が制限されて行動様式が変化しましたので、これに伴って家庭消費は非常に増加しましたが、一方で学校給食が止まったり、飲食店などの業務用需要やインバウンド消費が減少したりして、生乳の需給調整は非常に混乱したわけです。3月、4月、5月は総体的には需要が落ちましたので、それに伴う生乳の廃棄をいかにして止めるかで業界は大変苦労しました。

一方これから先、今度は通常はない夏場の時期に学校給食が始まりますので、想定していない需給逼迫も予想されています。その意味では、ミルクというサプライチェーンの脆弱性と需給調整の困難性が露呈したのが、この国内サプライチェーンの状況です。
日本は生乳の廃棄は免れましたが、アメリカやイギリスでは大量の生乳廃棄が発生してしまいました。お二人ともアメリカやイギリス、あるいはサプライチェーンのことについてご存じなので、なぜアメリカやイギリスで生乳の廃棄が発生し、日本ではそれが起こらなかったのかという問題とか、あるいはサプライチェーン上のリスクを負担する構造がどういうものでなければならないかといった新しい課題も今回は明確になったと思いますので、そのあたりの話もとても大事なことだと思います。

3つ目が、これまであまり議論してこなかったのですが、地域規模の小さなサプライチェーンの問題です。今回典型的な事例としては、学校給食が中止になりました。学校給食のマーケットは地域の小規模な、閉鎖的なサプライチェーンでもあるのです。そこを支えているのは地域の小規模な乳業メーカーさんです。ところが、地域の小規模な乳業メーカーさんが、学校給食がなくなったことによって事業継続が困難になるということで、ミルクのサプライチェーンもさまざまな要素があることが分かりました。また6次産業化でチーズを作っているような酪農家さんが、業務用需要や観光客が一気に減ったことによって大変打撃を受けております。これももう少し考えなくてはいけない問題です。

事例的に簡単にお話ししましたが、サプライチェーンの持続可能性、強靭性をいかに確保するか、あるいはコロナ問題を踏まえたときにサプライチェーンの新しい課題は何なのか、そして今後どういう取り組み、あるいは議論が必要なのか。このあたりについて先生方のご意見やアイデア、問題提起をしていただきたいと思います。

サプライチェーンについては、清水池先生が指定団体制度の問題も含めてさまざまな研究もされて発言もされていますので、いまお考えになっている問題なり新しい課題なりについてお話をしていただければと思います。いかがでしょうか。
  • 北海道大学大学院 講師
    清水池 義治(しみずいけ よしはる) 氏

明らかになった日本のミルクサプライチェーンの課題とは?

清水池義治氏(以下、清水池) 今回の新型コロナの件であらためて感じたのは、今のミルクサプライチェーンのもともとあった問題が拡大再生産された、あるいは問題点が非常に大きくはっきり見えてきたということです。 
今回の新型コロナによる酪農乳業への影響は、日本と欧米とで違いが出てきました。欧米のほうが乳製品は外食需要の比率が高いのでしょうか。欧米の方がロックダウンによる需要減少の影響が大きいように感じました。その点、日本はわりと家庭向けが多いので、もちろん外食需要減少の影響は出ていますが、欧米ほどではないように思います。その他には、日本では、集送乳を生産者団体がやっている点が影響の違いとして大きいと思います。日本では、酪農側が自分たちで乳業メーカーへ持っていくので、乳業メーカーで余剰生乳をどうするかという話になります。一方、欧米の場合は生乳を買う乳業メーカー側が運ぶので、乳業メーカーがいらない生乳をわざわざ持っていくことはないので、酪農家段階で生乳が廃棄されることになる。サプライチェーンの需給調整をどこが主要に担うのかという差が現れたと感じています。 
昨年、Jミルクの受託研究で行った北海道胆振東部地震の影響分析で思ったことと近いのですが、新型コロナに伴う需給調整では特に乳業メーカーにかなり負担がかかっている状況だと思います。今回のこの状況を見て思ったのは、需給調整には多元的なバッファが必要ということです。今は乳業メーカー、しかも特定のメーカーの脱脂粉乳、バターの製造量で調整することが基本です。しかし、乳業メーカーにおける需給調整が基本になるのは当然として、もう少し多元的に、乳業メーカー以外の場所でも需給調整できるようにしないと、持続的な需給調整システムを今後も維持していくのはなかなか難しいのではないでしょうか。
 そのうえで、3つほど、グローバル、国内、地域のサプライチェーンで問題提起していただいたので、その対応でお答えします。 
グローバルの点で言うと、今後EPAもあって乳製品の輸入が増えることが予想され、それに伴って国内で製造する乳製品が減ってくることが予想されます。今後も需給調整における乳業メーカーの役割は重要ですが、やはり国内で脱脂粉乳とバターに向けられる生乳が一定量確保されていないと、乳業メーカー側も通常の経営の中で脱脂粉乳、バターを作り続けるのは難しいのではないかと考えています。 
やはり一定量の生乳が確保されていないと、脱脂粉乳・バター等向けの生乳の季節変動が今以上に大きくなり、乳業メーカーとしても扱うのが難しくなってきます。脱脂粉乳、バターになる生乳がどれくらいの量あれば問題なく需給調整をやっていけるのかを考えていかないといけない。現状の100万トン台前半ぐらいがもう限界というか、これ以上減ると厳しいという話も聞きます。需給調整の観点からこの用途の位置づけを改めて考える必要があるでしょう。これは、需給調整用途としてチーズ向けをどう使うかという話とも関連しています。 
乳業メーカー以外での需給調整の観点では2つほどあります。1つは生乳生産レベルでの調整、つまり、生産調整で、これは基本的にはもうしないという話になっていると思います。私もそう考えていたのですが、最近、ある酪農家の方と話をしたときに、生産調整ができる酪農家もいるという話になったのです。配合飼料の量を減らせば減産ができると。これは当然ながら準備するのに数週間、元に戻すのにまた数週間かかりますから結構長い期間を要するのですが、その酪農家によれば3%ぐらいだったら減らすことはできると言っていました。 
この場合は当然、減収分は何らかの形で補償します。最近、投資をして借金返済が必要なメガファームなどだと難しいと思いますが、借金の少ない家族経営だったらある程度対応できる人もいるのかもしれないと思いました。 
いま1つは、今回の学校給食が止まって都府県の中小メーカーの経営が困難となった際に、SNSを通じた買い支え運動などで地域に密着した乳業メーカーは支持されているんだとあらためて思いました。また、各地で行われた牛乳無償提供はメーカー側も負担する形で行われました。ここで考えたことは、こういった取り組みの制度化です。アメリカにはフードスタンプという事業があり、農産物余剰対策と貧困対策を兼ねて、政府によって農産物などの買上げと配布をやっています。日本の場合、貧困対策でああいうのをやると生活保護に対する根強い偏見でなかなか難しいかもしれないので、例えばこういう緊急事態、災害のときだけに限定した制度を作り、政府なり、あるいはステークホルダーが積み立てた基金を使って買い上げて緊急援助物資として使うなどして、製品販売レベルでの需給調整、脱脂粉乳・バター以外の製品での需給調整に用いる方法もあるかもしれないですね。 
今言ったことは基本的には動く数量的には微々たるものなのですが、現状のようにみ完全に特定メーカーのバターと脱脂粉乳のみで調整するよりは、乳業メーカーへの負担が減ると思います。より多元的な需給調整のあり方を考えるべきでしょう。 
最後、ローカルのところで言うと、これも非常に示唆的な事態がいろいろ起きました。北海道の場合、学校給食向けの牛乳は、都府県と比べると規模の大きい乳業メーカーが担っている場合が多いように思います。学乳が全体の販売乳量に占める割合は1割ぐらいのメーカーが多いのでさほど影響が出なかったと思うのですが、都府県の中小メーカーはもともと学乳への依存度が非常に高いメーカーもあり、その出口が止まってしまうと非常に影響が大きいです。 
実際、買い支えや、あるいは地元のスーパーが特別に、普段は扱っていないけど扱ってくれたりして一定程度販売できたという事例もあるようです。中小のメーカーとしては今回の件で、どういうことをしないと生き残っていけないかがはっきりしたのではないかと思っています。ありきたりな話ですが、地域性と、身近にある工場ということですよね。わりと学校給食のイメージが強いと思うので、大人になって飲まなくなっても、地元の乳業メーカーの印象が残っている人が多いようです。 
学乳以外のルートをこれから作るとなるといろいろ大変だと思うのですが、学校給食が休みの、例えば長期休暇の際などに、普段は売っていないような販売ルートで時折売ってもらうような関係性をこれからも続けていれば、今回のような事態が起きたときにも対応しやすくなるのではないでしょうか。今までは、量販店などと取引関係が弱いメーカーもあったのかもしれないのですが、そういう形で普段から関係を作っておく。これは小売店だけではなく一般の消費者もですが、作っておけば、日常的に飲むものではないけれど、非常時に買ってもらえる、そういうことかなと思います。 
また、今回、北海道で思ったのは、酪農家の6次産業化に取り組んでいる事例は多くが高付加価値化路線で、それは間違ってはいないのですが、観光客とか、高級品として売るという志向が非常に強かったです。今回の新型コロナでどうなっているのかまだきちんと確認できていないのですが、やはり非常に影響が大きかったのではないかと思います。 
一方で、十勝地域の酪農家が作ったある乳業メーカーがあります。そこは6次産業化にも取り組み、アニマルウェルフェア的な観点で酪農経営をやっているのですが、売り先の変遷が非常に興味深いのです。以前は地元のローカルスーパーや生協などに売っていたのですが、十年以上前に、その地元スーパーが道内他地域のスーパーと経営統合して全道展開のチェーンになってしまいました。もしもうちと取引を続けたいのだったら、全道に出荷できる体制を作ってくれと頼まれたのですが、無理だということで断ったそうです。 
それでどうしたかというと、地元の保育園とか病院、介護福祉施設というルートに全面的に切り替えたのです。製品の一部はコープさっぽろの宅配や有機農産物宅配企業を通じて売っていますが、基本的なルートは地元の福祉施設や病院です。今回の影響についてはまだ、それとして確認はしてないのですが、たぶんあまり影響は出ていないのではないかと思っています。地域市場がメインの場合、高付加価値路線と比べて収益性に難があると思いますが、地元に供給するという視点を持っておいた場合、事業上はあまり影響が出なかったのだろうと、なかなか示唆的な事例だと思いました。そこは牛乳がメインで、しかも低温殺菌なのであまり遠くまで売れないからそうせざるを得なかったという側面はあると思いますが、今回の事例で非常に考えさせられました。

前田
 ありがとうございます。ポイントをいくつか整理してお話ししていただきました。今ご提案があったことを1つ1つ丁寧に議論することが必要だと思いました。 
最初に総括的なお話として、やはり需給調整の方法を多元的に持っていないと、大手乳業メーカーさんを中心とするバター・脱粉の施設だけに依存するのが今回非常に厳しかったので、そろそろ限界なのかなということは全くそのとおりだと思います。 
Jミルクの試算では国内のバター・脱粉の製造量、キャパが生乳換算で月間18万トンぐらいです。18万トン以上に増やすというのはものすごく無駄な施設をたくさんつくらなくてはいけないわけで、単純にこれを増やすということにはならず、多元化していくということは1つのアイデアとしてあると思います。多元化というのはいったいどういうことなのか。非常に大きいものから小さいものまでいろいろと話を出していただきましたが、あると思います。 
もう1つがグローバルサプライチェーンの問題で、日本国内でミルクの需給調整をある程度しっかりやっていけるようにする、リスクを小さくするためには、どれくらいのボリュームを需給調整のために確保しなくてはいけないのかといったところは本当に大きな議論になると思います。 
そのときに、今は加工原料の製造施設は主に北海道に集中していますが、北海道の生乳そのものが需給調整の役割を持っているので、北海道のミルクを都府県にどのように送るかということの需給調整と、今度は余ったミルクを北海道の乳製品工場でどういうふうに需給調整するのかという2つの機能があり、これが上手にやれればいいのですが、トレードオフのときもあるわけです。そのあたりのことが課題としてあると思います。 
あとは国内サプライチェーンの問題で、非常に興味深いお話もされたと思います。やはりアメリカのフードスタンプのような仕組みがいかに意味のあることか分かりましたし、かつ、需給調整という視点でもああいう仕組みに役割があることが確認されたのは間違いないです。 
そうすると、社会的なシステムとしてのフードスタンプ、フードバンクシステムと、緊急的な需給調整のためにそれを上手に使わせてもらうことの2つの側面からこの問題については考えてみることがあるのかなと思いました。 
ローカルな需給調整の問題では、小さな地域の乳業メーカーさんが地域のマーケットとの間でどのような関係性を結んでいくのかということがあって、今回それが十分にできているところと、できていないところで大きな差が生まれているのだと思います。そのあたりが主な清水池先生のお話でした。 
続いて、清水池先生のご議論に対して竹下先生のご意見も含めて出していただいて、ディスカッションしてみたいと思います。いかがでしょうか。
  • 名古屋大学大学院 准教授
    竹下 広宣(たけした ひろのぶ) 氏

新しい市場としてのフードバンクなどの位置づけも重要の視点

竹下広宣氏(以下、竹下) 清水池先生のお話、勉強させていただきました。どうもありがとうございます。 
清水池先生がおっしゃったフードスタンプのお話で私が思うことは、前田専務理事もおっしゃいましたが、フードスタンプのように需給調整機能を持つ無償配布を、次に備えてどう整備するのかという点が今回課題として残されたという点です。今回は無償配布の準備にとりかかってから実行されるまでにかなり時間がかかってしまったと思います。無償配布がもっと早く開始できるようになれば、無償配布はバッファにもなると考えます。 
繰り返しになりますが、今後に備えて無償配布のシステムを作り上げておくかが、私は大きな課題と思っています。清水池先生、どうでしょうか。

清水池
 北海道と都府県でも受け止めの印象が異なると思いますが、無償配布の話は、おっしゃる通り対応が少し遅かったし、一般消費者の運動に任せるみたいな感じのところが当初はあって、確かにそれ自体は、日本の消費者が酪農乳業のことをこんなにも大事に思ってくれているんだということで私も非常に感動はしたのですが、業界あるいは政府としてはそれに頼るのはやや無責任であるとも考えます。やはりちゃんとしたセーフティーネットとして機能させるためには、事前に制度として作っておかないといけないということです。 
でもその場合、例えばこの制度があったとしても、どういうタイミングでこの事業を発動するのか、それも判断が難しいところです。特に今回の新型コロナは全く見通しが分からない中でしたから。結果的に見ると、あのときからちゃんとやっておくべきだったという点はあると思いますが、渦中にいる中でどういうタイミングでやったらいいのかは難しかったのでしょう。

竹下
 どこの組織が先頭にたって周囲をとりまとめ、無償配布を発動する役割を担うべきなのか。緊急事態宣言と同じように政府が発動し、その後の具体的対応は自治体の判断に委ねるといったような形では、いくら発動が早くてもスピード感ある事業の展開は難しい。やはり、どの組織が発動から事業の実行までを担うか、そこをルールとしてしっかり準備しておかないと、今後も発動に俊敏性を欠いてしまうと思います。 
今回の座談会参加にあたり思ったのは、Jミルクさんが公表された「提言」にもある「強靭性」をどう考えるかです。そこで私が考える強靭性についてですが、レジリエンス(強靭性)を日本語に訳して考えると、2つの軸があるかと思っています。 
1つは弾力性です。弾力性というのは、主に価格変動に対する対応力、つまり、価格が下がってもどこまで耐えうるか、その力だと思います。もう1つの軸は俊敏性です。これは、これまでの消費環境が一時的に崩れ、新たな消費環境に直面した時に、いかに迅速に対応できる力を備えているかということです。今回のコロナ騒動環境下では、この俊敏性がどこまで発揮されていたのかが見る必要があると思います。この視点で見ると、私が行き着いたところは、やはり無償配布が一番大きく俊敏性に劣っていたと感じますので、その点の指摘を先ほど言いました。 
もう1つ、いやらしい言い方になるかもしれませんが、無償配布というのは、地域とのつながりが強まっているのをさらに強める、強化するということで活用できる取り組みでありますから、なぜ、もっと無償配布を実施する際にプロモーション的要素を入れなかったのかとは思っています。廃棄は誰にとっても望ましいことではないので最悪の選択です。ですが、廃棄せずに単に無償配布するというのもどうでしょうか。無償配布を通して生産者の方々の地域におけるステータスを上げておくという意識を強くもって無償配布に取り組むことは、平常時に戻ったときに迎える新常態、そこでの新しい行動様式につながると思います。非常時への対応を単発だけで切り取って見ていると些細なものであるかもしれません。そのため結局、喉元過ぎればという話だけで終わってしまうのかと思いますが、地道な積み重ねが持つ力を意識して行動すべきだと思います。

前田
 その議論に僕も参加したいのですが、フードスタンプを事例に取った今回の牛乳無償配布事業ですが、おそらく日本の中ではフードバンクや「子ども食堂」といったものは、まだ経済的なマーケットとして解釈されていないところがあるのだと思います。これをシステムとしてサプライチェーンの中に位置付けるということが議論されていないので、今回、起こったときに何をしていいのかが分からないというのが実態だったと思います。 
今回の牛乳無償配布活動は基本的に2つあり、1つは政府が財源を出すのですが、この発想は、1滴も生乳の廃棄はさせないということで、需給調整の1つの柱、1つのメニューとして打ち出したということがあります。政府のプラスワンプロジェクトから始まって、清水池先生がおっしゃったように、日本の消費者がこんなにも乳業を含めた酪農乳業全体に対して、深い共感性や信頼性があるのだと確認できたことは、業界にとっても非常によかったと思います。 
今後ともこれは大きな課題にしなくてはいけないと思いますが、そういう意味では、サプライチェーンへの位置付けが重要です。今後、間違いなく、フードバンクや「子ども食堂」などはかなり大きなボリュームを持つようになると思います。日常的なボリュームもさることながら、今回のような事態が起きて仕事がなくなったりして食生活が不十分になったりとかいうことで、その一番のひずみが子どもたちの食生活に出たりして、その途端にマーケットのボリュームはものすごく増えるけれども、ここは実は経済的利益を出せるマーケットではないわけですよね。これを先ほど言ったように国の仕組みとか、業界がそのような緊急事態のための基金なりを作り、1つのボリュームとして需給調整の多元性の中で整理するというのが1つの視点です。 
もう1つは竹下先生の、地域との関係性を強化するいいチャンスだったというお話はすごく重要なことで、結局これはミルクだからできることなんですよね。ミルクは地産地消的な要素もあるし、地域には乳業もあるし酪農家もいるわけです。かつ、ミルクは栄養的に貴重だし、便利だし使いやすい食品ですので、それを上手に生かしながら地域との関係性を作ってあげて、平時でもその関係性をつなげていく。それはスーパーの方々との、今回一時的にできた関係性をそこで終わらせるのではなくて、持続性を持たせるということで可能だと思います。
 ただそのときに感じたのは、そのようなフードバンクや子ども食堂は拠点があるのですが、ひとつひとつの拠点はボリュームがすごく小さくて商品の配送が極めて不効率です。比較的大きな乳業メーカーさんはもちろんそうですが、そういう配送に対応できないのです。だからそういう意味では、例えば牛乳販売店さんの役割をもう一度考え直すとか。アメリカなどのフードスタンプは細かく届けるのではなくて、乳業メーカーが拠点を作り、一般の消費者がそこに取りに行くんですね。そこがわれわれには経験がなかったので、そういうこともシステム化していくことが必要ではないかと考えます。ここは一回、それこそ研究者の方々が調査をしていただいてレビューし、課題を浮き彫りにして新しい提案をすることをやってほしいと思いました。

指定団体制度の役割と再評価の新しい視点

さらにサプライチェーンでもう1点議論しておきたいのが、今回は指定団体がどういう役割を果たすかということでした。ミルクサプライチェーンそのものは、腐りやすいミルクを連続的につないでいくサプライチェーンなのでもともと脆弱性が非常に強く、その上、しっかり管理をしなくてはいけない。管理はプレイヤーが多ければ多いほどしづらいわけですよね。しかし今回は、プレイヤーを集約する機能が指定団体にはあるので、指定団体が需給調整のハブ機能を持ったことが大きく、竹下先生から弾力性と俊敏性という意見がありましたが、俊敏性の点では非常に迅速に需給調整ができたのは間違いないです。脱脂粉乳・バターなりチーズの工場に持ち込むという点は素早くできた。これは指定団体の機能が一定の、いい役割を果たしたと検証できるわけです。 
その効果も含めて、グローバル化が進んでいく中で自由な競争が行われるマーケットの機能を果たすという要素と、このような危機的な状況下でしっかりとした管理をしなくてはいけないという2つの要素を、どのようにバランスよく準備しておくか。これは清水池先生、どう思いますか。

清水池
 その2つが矛盾なくできればいいのですが。今のところはまだ指定団体(指定事業者)のシェアが非常に高いので、ある程度矛盾せずにそれができる状態だと判断して良いでしょう。しかし、これらのシェアが下がってくると並行してできなくなるときが来るのかもしれないです。それがどういう状態なのか、私が明確にイメージできているわけではないのですが、酪農家とメーカーの結節点にいる指定団体にその機能が失われてしまうと、需給調整の仕組みが全部崩壊してしまいます。 
指定団体はそういう機能が自分たちにあることを明確に自覚していますが、シェアが落ちてくるとそういうことが現実としてできなくなってきます。今、北海道でも指定団体外出荷の問題がいろいろ起きていて、一直線に指定団体外出荷が増えていくことには必ずしもならないのかなとも思ってもいますが。

前田
 竹下先生はイギリスでさまざまな調査をしていただいて、サプライチェーンにおける、日本で言えば指定団体のような組織がどのように機能するのかという点も検証されています。今回のコロナ対応での生乳の需給調整は、イギリスはかなり失敗もしているわけですがどうでしょうか。

竹下
 かつてのMMBが今のイギリスにあれば生乳廃棄はなかったと思います。こう言っては何ですが、日本はよかったなと。ほとんど無傷という言い方は言い過ぎかもしれませんが、実際に酪農家さんに電話でお話を伺っても、これまでのところ所得面への影響はさほど大きくないということが分かりましたので。 
ですから、指定団体が果たしている役割をもう一度見直す必要があると思います。今回の件で、指定団体は需給調整という機能を強力に持つことがわかったことです。指定団体が差配するシステムがいかに優れているかを知らしめることになったと思います。もし、全国の酪農家や小売店が販売先を決定しなければならないようなことになると、需給のミスマッチによる損害は甚大になっていたのではないでしょうか。 
今回よくわかったのは、販路をいろいろ持っていて、需要を見極めて調整するという役割を果たせるのが、指定団体が存在する意義だということです。この機能をさらに強化する、そして、今回の騒動時の差配の俊敏性をより強化する、と言った点をさらに追求できれば指定団体を核とする生乳の流通システムを維持する価値が明確に強調されるだろうと思っています。 
指定団体から抜け、団体外出荷がこれからどうなっていくかについては、生乳販売価格が今後どの程度に維持されるかという点が関わってくると思っています。結局のところ、今回の騒動で、酪農家さんが大きなダメージを受けなかったのは、近年の高価格にありますと思います。このような環境では、そうは現在の指定団体経由のシェアは大崩れはしないでしょう。これが、もし、もっと生乳取引価格が下がったときにどうなるかは、違う局面を迎えることになり、また違った議論が必要になるだろうと見ています。

前田
 そういう意味では指定団体制度、指定団体の仕組みを、まさにニューノーマルという新しい社会条件が生まれたときに、従来の延長線上で議論するのではなくて、新しい社会的な環境の中で指定団体の時代的な役割を再整理するみたいな、そういう議論が前向きだろうとは感じています。 
もちろん、先ほど強靭性という点では弾力性と俊敏性があるんだということと、もう1つは弾力性とからむのですが、清水池先生がおっしゃったように多元性ですね。 
多元性となると指定団体の議論と少し矛盾する部分も出てくるので、そういう意味でキーワードとしては弾力性、俊敏性、多元性と言い換えていってもいいような気がしますが、こういう視点でミルクのサプライチェーン全体を、小さなサプライチェーンからグローバルなサプライチェーンまで全部整理しながらそれぞれに課題を整理していく、議論していくことが重要かもしれませんね。

清水池
 前田さんのおっしゃっていることを聞いていて私も思ったのですが、社会における指定団体制度の役割が、ある意味で昔からそうだったのですが、評価の中身が変わってきていると思っています。
指定団体制度自体はもともと酪農経営の安定を大目的として価格交渉力とか円滑な需給調整などが位置づけられていました。今ここに至るとやはり、サプライチェーンを安定して維持するという意味が非常に大きい。そういう意味で、指定団体制度は弾力性に優れています。まさに、いろいろな販売先を持っていることで何が起きてもうまく中間で調整できることの意味ですよね。これが非常に新しいというか、昔からある意味ではあったのですが、新しく再評価と言っていいでしょうか、そういう形で社会における意味が、今回の災害とか今回の新型コロナの中で浮き彫りになってきたのではないかと思います。

前田
 そうですよね。そういう意味では、ここでは議論を再スタートさせるという感覚のほうがいいかもしれませんね。サプライチェーンの課題は細かいところまで突っ込めばまだたくさんあるのですが、時間もありますので議論はそれぞれの先生方の研究の中でやっていただくことにして、サプライチェーンの話はここで区切ります。

地域システムとしての今後の酪農

2番目の議題は、地域システムとしての酪農です。特に北海道など酪農産地の場合には地域コミュニティを支えるのが酪農になっているし、あるいは都府県にもさまざまな産地があり、そういう産地は地域コミュニティと密接に結びつくわけです。 
今回はまさに、この新型コロナの感染を防止するためにさまざまな人間の、場所を越えた行動が制限されていて、それをサポートしたのがデジタルシステムだったと思います。 
人間がリアルに移動するのはなかなか難しくなっていく中で、いかにして持続可能性を確保するかということで、自立分散型あるいは地域循環型の経済システムを作っていこうと。それをデジタルシフトでフォローしていく。このようなものが一般的な論調だと思うので、そういう点でこの議論はしっかりしたいのですが、中でも非常に分かりやすい議論としては、1つは地域経済への貢献です。論点整理のメモでは雇用と書いたのですが、雇用問題に限定する必要はなく、地域経済への貢献の問題が1つです。もう1つは、これはまさに竹下先生が今一生懸命やっていらっしゃる酪農の外部経済効果の問題です。 
1点目の地域経済への貢献という点では、農業経営の規模を拡大するために安定的な雇用が必要だが、地域内で安定的な雇用が確保できないので外国人労働者を活用するみたいなことが大きな流れになってきたわけです。日本の酪農は高原野菜などに比べると外国人労働者は少ないものの、外国人労働者の活用については皆が注目しています。現にEUの酪農は、北アフリカとかスペイン、あるいは東欧の労働力に頼っているわけですが、そういう人たちが基本的に来られなくなり、ずいぶんEUの農業は労働力問題で傷むのではないかという話があって、今後は日本でもそのようなことが起こるだろうと。 
あるいは一方で、東京や大阪、都会のど真ん中で仕事をするのはいやだと従前思っていた人たちが、リモートワークが加速していくと仕事の場と住む場所、居住地を変えようとか、そういう意味での人口移動も起こると地域のあり方も変わってくると。 
あるいは、これは清水池先生も先ほどおっしゃいましたが、6次産業化した酪農経営にあっては、主要なターゲットを地域に置いている場合とそうでない場合において、今回のコロナ問題の影響がかなり違ったということがあり、雇用も含めて、地域の経済とどのような関係を結んでいくのか、地域のコミュニティにどのように貢献していくかが新しい構造的な課題になってくると思います。まずその点が1つです。 
もう1点は、いわゆる外部経済効果の問題です。1つは、飼料穀物を含めた穀物の輸出制限の問題が起こるとなると当然、海外からの飼料穀物の価格が上昇するとか、今回もコロナの真っ最中に中国に大量のコンテナが止まってしまい物流が追いつかなかったという問題もありますので、そういう意味では、餌の問題についても地域の中で自給していく。そうすると当然、酪農の土地利用の問題があらためて大きな課題になっていく。あるいは、エシカル消費とかESG投資がありますので、そうした観点から酪農生産の方式が問われるとか、地域コミュニティとの関係性をどう作っていくか。あるいは、酪農教育ファームなどを通した農場での保健休養機能をどのように発展させるか。これらもさまざまな広がりで課題が出てくると思います。 
したがって2つ目の議論は、地域システムとしての酪農という点で、これは抽象的な議論でもあるので幅広く捉えて議論したいと思います。ご専門は竹下先生なので、竹下先生から先に少しご意見を頂戴できればと思います。いかがでしょうか。

地域経済と酪農の外部効果

竹下 前田専務理事が今おっしゃった話の中で、清水池先生から先ほど6次産業化を通じて地域とのつながりを持っているところと、そうでないところで差が出ているのではないかというご意見が出ました。 
私が直接関わりのある事例についての話をさせていただきます。この例は、高知市の山の急斜面を切り開いたところで、山地酪農を営むある牧場の話です。ここはジェラートなども作っています。そして、指定団体を経由しつつですが、地域乳業さんにそこの乳が届き、その乳を使った製造された飲用牛乳は、生産者の顔写真入りで小売店に並びます 
この生産者さんがコロナでどうなったかというお話を伺いました。1カ月間はジェラート販売店舗は閉じ、売上減はおよそ100万円くらいとのことでした。今は再開しているのですが、普通にお客さんは戻ってきているそうです。自粛し店舗閉店中、通販もしていなかったため、売上は下がったそうですが、深刻なダメージを受けたとの実感はないとのことでした。なお、こちらの酪農家さんは酪農教育ファームとして活動をされています。通常、地域の学校などいろいろな方々から9月から申し込みが殺到するとのこです。現状において、すでに週4日ぐらい受け入れないと回らないぐらいに申し込みがあるそうです。そのため、9月末まではとてもではないけど酪農教育ファームをやってはいけないことになって、止む無く、酪農教育ファームの再開は10月からにしたということです。このお話を伺って、この酪農家さんは普段から地域の方々とつながっていたことによって、その場所に酪農のある意味を作り出していらっしゃっていたのだなと思いました。 
この酪農家さんと会って思ったことは、経済学で言うところの外部効果です。この酪農家さんと地域住民の方々で築かれている関係も、外部効果があってこそなんだと思っています。つまり、酪農牧場を訪ねる方々にとって、牧場は単にジェラートを食べに来る場であるのではなく、食の教育の場であり、命の価値を知る場として存在しているということです。そして、もう1つ。牛を見ること自体が保健休養機能的な効果もあるんだろうと思います。 
外部効果の話で続けると、今回のコロナ騒動は日本の食料安全保障も改めて考える機会になるのではないかと思います。日本の自給率をどういう数値に設定するか。今のところは潜在的な生産力がどれぐらいあるか、これは潜在的な食料供給力で、食料自給力と呼ばれるものです。少しあらっぽい言い方をすれば、何を食べるかにこだわらなければ、今の自給率でも全く問題ないんだという考え方とも言えます。しかし、どのような非常時であれ、日々欠かすことのない今の食生活をある程度維持できるような自給率を設定し、それを達成することに向けて注力しても良いのではないかと思います。その際に、酪農が果たす役割がどうであるか、私は決して小さくないと思っています。 
また、日本での穀物や野菜でも何でもいいですが、そういったものの自給率を上げるという場合にはやはり、耕作地の面積をいかに維持するかということも考えなくてはいけません。この問題を循環型経済と組み合わせて考えると、酪農で生成される堆肥をどのように活用していくか。これもこれまで以上に酪農が地域で果たし得る役割を考える上で無視しえない論点ではないでしょうか。自給率の考え方は、私個人の一意見ですが、自給率がどうあるべきか、これがどちらの方向に動くかで、酪農が果たせる役割は変わってくると思っています。 
地域での雇用、酪農での人材確保は、どうなるのか。これを探るために、北海道の酪農家の方にヒアリングしてみたのですが、今回のコロナ騒動では、酪農家さんは都会から北海道に働きに来る人はそんなに増えないのではないかという印象を持たれています。この話を聞いて、おそらく、コロナ騒動を受けて劇的に人々の考え方が大きく変わり、都会から地域への移動、かつ酪農の人材確保というところまではあまり結びつかないのではないのだろうと感じています。

前田
 今のお話の中で自給率の問題が出ました。本来自給率は、フードセキュリティの議論から始まったはずです。最近は自給率の実現可能性の議論が始まっていて、フードセキュリティの問題は身近な問題として議論がしづらくなってきたということがあるのだと思います。 
今回さまざまな危機的な状況を踏まえたときに、これくらいの自給率がないとちゃんとした食べ物が食べられないよというのがあらためて身近な問題として理解できたので、そこの議論もしっかりと再整理するというか、議論し直すことが1つのポイントかなとは思っています。 
それプラス地域経済にはいろいろあって、もう少し小さな規模での地域経済もあるのですが、合わせて、清水池先生からこのテーマについてご意見があればどうぞお願いします。

地域の雇用やコミュニティと酪農

清水池 北海道で新型コロナの件で言うと、特に大きいメガファームを中心に技能実習生が入国できないという問題があちこちで起きています。それがどうなっているのか、私はまだ全容を把握できていないのですが、野菜と違って毎年全ての実習生が入れ替わるわけではないので、露地野菜などと比べると影響はそんなに大きくないはずですが、それでもやはり全体の何割かは毎年入れ替わっていくはずで、その人たちが来られないことによる影響は確実にあったと思います。 
今のところ北海道の農村部には感染はさほど広がっていませんが、今後を考えると大規模経営では集団感染の問題が気になります。もともと家畜疾病の面でメガファームは家族経営と比べるとリスクは大きいとは認識していたのですが、今回、欧米各地で、牛肉や豚肉の加工場で集団感染が起きて工場が数週間止まってしまうといった話を聞くと、メガファームなどではわりと三密で作業するところが多いですから、そういう人間の病気という観点から見ても、個別分散の家族経営とメガファームとでは、感染症のリスクもだいぶ違うのではないかと感じました。 
移住に関しては、どれぐらいのインパクトがあるかは別にして、結構、人の動きが出てくるのではないかと私は思っています。これは、東日本大震災のあともそうでした。その当時、私は田舎(北海道名寄市)に住んでいたので実際にそう思ったのですが、Uターン者が多くなった印象がありました。 
田舎に帰ってきたときに、仕事があるかどうかは重要な問題ですが、私自身もそうですけれども、業種によっては大半の業務がテレワークでできることが分かってきて、住む場所だけ農村にしてしまうという考え方をする人が増えるのではないかと思います。あるいは、もともと移住を予定していたのをもっと早くするというケースもあるでしょう。 
2年ほど前に北海道大樹町を調査したときに面白かったのは、地方創生事業で若手芸術家に町内に移住してもらって、町でアトリエを整備して、そこで創作活動してもらいながら、朝夕は搾乳作業をしてもらうというダブルワークを支援する取り組みがありました。テレワークをしながら搾乳もというのはあまり現実的ではないのかもしれませんが、それを見て思ったのは、こういう形で本業以外の時間で酪農や農業に関わって働ける人は結構いるのではないかと思うし、むしろそういうことをしたいと思っている人も、それなりにいるのかもしれないということです。農村に住むからには農業に関わってみたいという人はそれなりにいるはずです。 
これからの農業は専業者だけでやるものだと考えるのではなくて、地域に住んでいる住民皆で支えていくものという意識を変えていく必要があるのではないか。大樹町でも芸術家、本業がアーティストと言っている人に酪農をやらせることにいろいろ意見はあったと思うのですが、そうしないと地域農業自体がもたなくなってきていますし、それ以前に社会がなくなってしまいます。地域社会に多様な担い手がいる状態にして、いろいろなスタンスの人たちで地域農業を支えていくという発想が、特に北海道は大事になってくる。もともと農業者中心の社会ですから、北海道ではそのような発想の転換が必要になってきているのではないかと考えています。

前田
 少し僕も問題提起したいのですが、北海道も含めた酪農産地における地域のコミュニティの構造が変化していくのではないかと。ロンドンやパリの人たちが今回コロナ疎開ということで、もうリモートワークもできるわけですから、3割ぐらいの人たちは郊外の農村地帯に移り住みたいという調査結果が出ています。日本がそこまでなるかどうかは別にして、清水池先生がご提案されたように、そういう人も含めて地域コミュニティの一員として大切にするよとか、そういう人たちも含めて酪農の労働力として多面的な、あるいは弾力的な労働の活用の仕方の仕組みを作ってみようかとか、そういうふうに農村の側が提案すると、リモートワークもできるのだから地方へ移住したいと思っている人たちが、「そういう仕組みだったら私も帰る」みたいな引き金になることはあるかもしれませんね。 
これはおそらく、そういう社会の条件が変化するのを待つというよりも、変化しそうな前触れを早くキャッチして、地域のほうでシステムを作っていくほうがいいのかもしれませんね。

清水池
 そうですね。大樹町の事例では、当初移住した若手芸術家たちは酪農ヘルパー組合のヘルパーとして雇用されたのですが、これはうまくいかなかったようです。ヘルパーは酪農家に依頼されたら行かないといけないわけですから、ヘルパーとしての仕事をどうしても優先せざるを得ないわけです。その辺と芸術活動の両立が実は難しかった。芸術活動ですから、例えば個展の直前などは集中してやりたいわけですが、なかなかその調整が難しかったんです。それが今どうなっているかと言うと、彼女たちは家族経営の酪農家にいずれも雇用されています。人手がもう少しほしいと思っていた家族経営とか、あるいは育成牧場で働いていて、わりと彼女たちの働き方に応えられるように配慮され、長続きしているようです。 
私は当初、従業員の多い企業的経営のほうが受け入れしやすいと思っていましたが、そこはどうしても全体の経営の中である程度システマチックに動いてもらわないと回せないという側面がありました。意外に家族経営の方がそういう柔軟性があるものだなと。柔軟な労務管理など受け入れ側の負担の大きさはあるとは思いますが、酪農でこういう働き方もできるんだなと、私も新たな発見でした。

前田
 そういうのは事例として非常に重要ですね。少し話題を変えて竹下先生にお聞きしますが、今、IFCNで世界の酪農関係者や研究者が、今後の酪農乳業の変化を議論しています。それと関連してお聞きしたいのは、先ほど高知の牧場の話をされましたが、日本の地域の酪農生産システムがどうなっていくのかという点についてはいかがですか。

 竹下 IFCNに参加している研究者や関係者によるWebミーティングが毎週開かれています。そこで議論されているのは、これから生き残っていくためにはいかにローカル化するかということでした。ただ単に普通に牛乳を搾って売っているだけでは、大企業ではない地域の乳業メーカーは苦戦するだろうということです。つまり、全国展開する企業には発揮できない、地域密着をいかにできるか、これが地域乳業に求められるということです。 
先ほど清水池先生もお話しをなさっていましたが、地域経済の中での1つの役割を果たしていくという点では、雇用ということもありますが、やはり地域での消費者とのつながりをもっと意識して作っていく必要があるのかと思っています。それができれば、ひいては雇用にもつながることになるのではないでしょうか。ただし、先ほど清水池先生がおっしゃっていたように、これからはダブルワークが進む環境になっていくでしょうから、雇用という点で、企業側が果たせる役割もこれまでとは変わっていくと思っています。 
話を変えますが、食品の一次機能、二次機能、三次機能という分け方でコロナ騒動での乳製品需要を見た場合、一次機能は栄養、二次機能は味、そして三次機能は免疫力とかそういう機能性です。このような機能にわけて、コロナ騒動での乳製品需要を見た場合、3つの全ての側面から需要は十分あったと感じています。 
学校給食がストップして家で料理をする機会が増えた方はかなりいたと思います。そこで、牛乳やヨーグルトやそれ以外の乳製品、そういったものがやはりなくてはいけないということを再認識できるようになったのではないでしょうか。ただし、胸に刻み込まれるほどではないでしょうから、これを良い契機として、酪農乳業の地域における役割や消費者とのつながり、住民とのつながりなどをもっと強める活動を増やして良いのではないかと感じています。

前田
 今の関連で、酪農産地もさることながら、都市的地域の酪農もすごく重要な要素が生まれてくるのではないかと思います。お二人からも保健休養機能の議論があって、観光農場とかオープンファームとか酪農教育ファームとか、さまざまな6次産業化の牧場さんなど、普通の家族経営の農家さんでも牧場をオープンにして地域に開放しているとか、いろいろあります。そういう視点から、酪農産地の大きな牧場だけでなく、消費地を身近に抱えている都市的な地域の酪農の役割が、今回の問題でずいぶんクローズアップされるのではないかという気もします。竹下先生、そのあたりはどうですか。

竹下
 今お話ししたことは都市近郊、都市、消費地に近いところ、同じことが言えるとは思っています。命の価値、酪農教育ファームということも先ほどの話に全て含めて話していました。前田専務理事がおっしゃったことはそのとおりですし、そちらの方向で進んでいくことが、酪農乳業のプレゼンスをより高めるためには必要と感じています。 
酪農のプレゼンスと直接につながるとは言えない話ですが、最近、千葉県の有名な観光牧場への入場は6時間待ちだそうです。これは、過密を避けて車で牧場内を回っていくようにしているからそうなっているのですが、それでも酪農関連の牧場に訪れたい人がいる現状を見ると、コロナ騒動が収まれば、酪農牧場を訪れたいと思う人はもっといるのではないかと思います。

前田
 東京の八王子で酪農教育ファームなどをやっている牧場がありますが、そこが面白かったのは、期間中もずっとオープンにし続けたのです。そうすると、通常時よりも地域の子どもたちが、平日も含めてものすごく来たんです。かつ、ヨーグルトや牛乳を作っていて、その価格は高いのですが、地域の人たちを相手にして売っているので売上は全然落ちなかったのです。一方、北海道などでは先ほど清水池先生がおっしゃったように、高付加価値路線でレストランとかお土産とかが多いのでそこは結構大変だったなと思います。 
そういう意味では、6次産業化も地域の消費者との関係性も合わせて、やはり多元的な環境を作ってリスクを分散化していくことも、個別の経営の中でもやっていかないとまずいかなという感じがします。

竹下
 インバウンドが当面戻らないのは確実です。インバウンドが戻らないということは国内需要に頼らざるを得ないです。これまで黒毛和牛に代表されるように高付加価値化して観光客相手にビジネス展開していました。この形態にいつ戻れるのか。仮に新型コロナが収まってもまた次のニューコロナが出てくるということもあるでしょう。そう考えると、インバウンドに頼る方向でのビジネス展開は非常にリスクの高い選択肢だと思います。それが先ほどお話した自給率をどうしていくかともつながります。 
このように考えた場合に、インバウンドの代わりとして日本全国のお客様をターゲットにするというのではなく、地域での経済を作っていくことがリスクをおさえるために重要になるのではないでしょうか。非常時、それが深刻であればあるほど、生産者はローカル需要に頼らざるを得ないでしょうから。このような地域経済が出来上がっていくと、これが新しい常態、新世界になるのだろうと思います。もしそうでなければ、新世界がこれまでと全然変わらないものになり、以前の状態にいつ戻るだろうというあまり意味のない議論になるのかなと思っています。

土地利用と酪農

前田 地域社会と酪農というテーマは幅広いのでさまざまな議論がありそうです。 
地域社会の問題でもう一度確認しておきたいのが、土地利用の問題です。基本的にコロナの問題とは関係なく、土地利用はしっかりやっていこうということで終わるのか、あるいはコロナが出たからこそ、さらにここはこういう点で評価されなければならないとか、そこの議論はどういう感じでしょうか。

竹下
 条件不利地域での話に限定すれば、そこでミルクを作ることは非常に価値があることであり、そういう点では非常に酪農が土地の有効利用となるのは間違いないです。 
これが酪農の存在価値を発揮できるかという点で見ますと、人里離れた条件不利の土地で酪農を展開すれば有効利用になるというだけではなく、やはり人が保健休養機能として訪れたいと思うような酪農でないといけないと思います。つまり、酪農が生産性以外の価値を持っているという点をより意識して今後の酪農が発展していくと良いのではないかとは思います。

前田
 今の議論は、持続可能な酪農乳業を作っていく、あるいは持続可能な社会を作っていく、あるいは環境負荷を減らしていくという従来の延長線上の議論ですよね。土地利用問題は、コロナの問題でさらに強化されていく問題はあるでしょうか。例えば、餌のグローバルチェーンはどうなるのでしょうか。

竹下
 今コロナで条件不利と限定してお話をしたのですが、前田専務理事がおっしゃっている土地利用は条件不利に限らないお話ですね。 
であれば、今言った条件不利というのは元来それ以外の作物に対して生産性が低いところですから、もし、自給率を上げるというのであればより生産性の高い土地を酪農以外の生産に使った方が良いという考えにはなってしまいます。日本の国土と耕作放棄地を合わせて考えれば、残念ながら酪農への土地利用の価値が現状のままで高まることはないと思います。
ただ、ここで酪農をやっていたらもったいない、他に転用すべきだという話ではないです。清水池先生、どうでしょうか。

清水池
 土地利用という観点から言うと、今回のコロナのパンデミックが食料価格にどういう影響を与えるのかは、まだ見通しづらいところがあります。これが例えば10年ぐらい前の食料危機のように価格の非常な高騰をもたらすという話であれば、また自給飼料の生産に力点が置かれてくるようになるのではないかと思っています。 
そういう意味で言うと土地利用が少し変わる可能性があると思っていますが、その辺もまだ、食料価格自体にどういう影響が出るかに関してはよく見通せないですね。

前田
 それは仮説の議論なので、もう少し分析が必要かもしれません。

今後、検討すべき課題をあげると?

前田 今日はテーマを少し絞り込んで、先生方もテレワークで巣ごもり生活を送られてきたので、その間にお考えになったことを披露してもらったということでよかったと思いますが、今後、酪農乳業の持続可能性を高めるために業界も研究者の先生方も一緒になって取り組んでいく必要があるわけですが、今日お話しされた以外の部分で、今後の取り組みに当たっての先生方の問題意識、課題意識、あるいは業界に対するご要望みたいなものもあると思います。最後にそこをそれぞれにお話ししていただいて、今日は終わりたいと思います。いかがでしょうか。

清水池
 先ほど言ったフードスタンプのようなものの話ですが、あれはやはりJミルクが音頭を取らないといけない性格のものだろうと思います。メーカーと酪農団体の組織なので。Jミルクそのものがやるかどうかという話は別として、そういう性格の団体でないとできないものではないかと思います。これがまず1点です。

もう1つが、先ほどの地域社会の話に戻るのですが、私が今関心を持っている論点を話します。北海道には酪農村が多いのですが、酪農と農村社会との関係で、特に問題意識を持っているのが、家族経営が減ってメガファームと呼ばれる企業的経営が増えてきた場合に、農村社会にどういう影響を与えるか、です。要は、家族経営中心の農村とそうではない、今のところそういう農村はあまりないと考えていますが、例えば企業的経営が中心になった農村を比べた場合にどうだろうかということです。

欧米では1960年代ぐらいから農業社会学の分野で、ゴールドシュミット仮説と言われている、まだ長年結論がついていない論争があります。家族経営中心の農村と企業的経営中心の農村を比べると、家族経営中心の農村のほうが、多様性があり、経済的な活力もあり、持続可能性が高いといった研究があります。そんなに単純化できるかという議論も当然あります。

北海道も酪農に限らず農村の性格に変化が出てきていて、その農村の変化がこれから持続可能な農業、あるいは持続可能な社会という意味で、プラスなのかマイナスなのか、農村社会が変わってきていることにどういう意味があるのかというアプローチの研究が重要になってきているのではないかと思います。
酪農で言うと、個別経営が大きくなったタイプの企業的経営と、複数の酪農家が出資してできたようなメガファームでは性格が違うはずです。それがどう違うのか、その辺は、北海道は過疎化で人が本当にいなくなってしまうような地域もどんどん出ている中で、重要な観点だろうと最近思っています。

前田
 それは非常に重要な問題ですね。今日はこれ以上議論できないのですが、今のお話に付け加えるとすれば、僕は、農協の役割はいったい何だろうかというところが気になります。竹下先生、お願いします。

竹下
 持続可能性を意識しながら全てお話ししていたつもりでしたのですが、プラスアルファしますと、今回、学校給食が止まったことで、先ほど言いましたように一次機能、二次機能、三次機能その全ての側面から乳製品が求められ、家庭内での需要が伸びました。しかし、それで乳製品の価値が見直されてよかった、100点満点だとは思っていません。と言うのも、私の感覚ですが、思ったよりも飲用乳の消費は伸びなかったと思っています。これは一次機能を求めた消費、そこが伸びなかったのではないかという感想です。 
そのため、一次機能としての役割について、もっと消費者の認知を高めていかなくてはいけないのではないかと感じています。親御さんが、学校で飲んでいるから安心だ、それが飲めなくなったら家で飲ませなくちゃ、というぐらいのところに持っていく必要があるのではないかと感じています。 
それができていないということが、近年の飲用乳の需要が落ちてきている一因ではないかと思いますし、今回のコロナでこれが分かったのではないかと思っています。 
先ほど清水池先生がおっしゃったことも私も同感です。そちらは生産、供給側のほうでしたが、私は消費サイドのほうから、持続可能性は考えてなくてはいけないと思います。

前田
 おっしゃるように、需要構造が大きく変化するのだなという思いがありました。牛乳の消費が落ちた一番大きな理由は間違いなく、家庭内消費が落ちたからです。外食とか、家で調理をしなくなるとか。ところが今回は家庭にみんな一回戻ってきたので、そこで一気に食生活の方法が変わり牛乳が伸びたというのが1つ。 
もう1つは、われわれの調査で何となく分かり始めたのですが、今まで飲んでいない人が牛乳を飲むようになっています。これはどういうことかと言うと、健康とか安全・安心に対する不安感が今回はすごく募って、その中で食生活を変えなければいけないという動きが出てきて、いろいろな状況証拠でチェックしてみると、これまで飲まなかった若い女性の変化が大きいです。それは女性の多くは社会の不安とか健康問題に非常に敏感なので、そういうところで行動変容が起こっているのではないかと思います。 
いずれにしても、そうなると何が起こるかと言えば、消費の場所が違う、消費のタイミングが違うと、今度は購入の場所が変化します。今回はまとめ買いをするものですから、スーパーマーケットの消費がばっと伸びるのですが、コンビニなどは実は伸びていません。したがって、消費の仕方が違うと需要の構造が変化して、そしてチャネルが変化する。チャネルが変化すると、まさに商品構成が変化してサプライチェーンが変化することになるので、おっしゃるように、生産の側からの流れと消費側からの流れの両方をしっかりと分析をしておくことが必要だと、われわれも感じました。 
お二人がそれぞれの立場で、今日議論していただいた内容を研究に生かしていただくと、学術連合の指定研究でもいいので、助かるなと思いました。 
今回はこれで終わりたいと思いますが、また引き続きこの手の議論をぜひやりたいと思っています。ほかの先生方も交えて、思い切って絞り込んだテーマで議論して、紙上座談会ではなくリアルに酪農家さんに見てもらうようなこともいいのかなと思っています。ぜひまた、そういうときにはよろしくお願いしたいと思います。
時間も短く、私の整理も拙く申し訳なかったのですが、とりあえず今日はこれで終わりたいと思います。お忙しい中、ありがとうございました。

竹下・清水池
 ありがとうございました。