第十一話 おばあちゃんのカルシウムアップ大作戦 その1

元気くん一家のミラクルミルクライフ

日本初! 食育小説「元気くん一家のミラクル ミルク ライフ」の第11回です。

骨粗しょう症に気を付けたいおばあちゃん。さて、その方法は?

第十一話 おばあちゃんのカルシウムアップ大作戦 その1

春休みになった。野球の練習から帰ってきたら、家の中がいつもよりも静かだ。
妹の愛は、友達の家族と一緒に高原に旅行だって。
牧場に行ったことを自慢したら、友達も牛に会いたくなって、一緒にと誘われたんだ。家族と離れての旅行は初めてだから、少し心配だけど、今頃は乳牛に会えて楽しんでいるかな。

おばあちゃんの仲良しが・・・ 

いつものようにキッチンに牛乳を飲みに行くと、おばあちゃんがリビングで一人ポツンとしていた。

「おばあちゃん、どうしたの?何か心配なことでもあるの?愛ならきっと大丈夫だよ!」

「うん、さっき写真付きでケータイにメールが届いたよ。牧場でお友達と牛見ているとこ。お母さん達にも見せてって、ほら。」

「わぁ、楽しそうだ。でも、おばあちゃん、なんか元気ないよ。具合悪いの?」

「おばあちゃんは元気だよ。でもさっき電話が、かかってきてね。いつも一緒に公園で体操をしているお友達がね、家の中でつまずいて骨折して入院したんだって。」

「それは心配ね。どこが折れたのかしら?」仕事からちょうど帰ってきて話に入ったお母さんの顔も心配そう。

「太ももの付け根のとこだって。」僕は自分のもものところを思わず押さえた。

「骨粗しょう症で、転んで折れやすいところなの。」とお母さん。

「骨粗鬆症って骨折しやすくなる病気だよね。この前、保健体育の授業で勉強したよ。成長期の今、しっかり骨にカルシウムの貯金をするようにって。特に女の人がなりやすいって聞いたよ。おばあちゃんもお母さんも気を付けたほうがいいよ。」

おばあちゃんの骨密度

「そういえば、保健センターで友達と一緒に骨が丈夫かどうか調べてもらったんだよ。お母さんに結果を見せようと思って忘れてたわ。今、持ってくるよ。」おばあちゃんが戻ってきた。

「痛くなかった?検査って、血を取ったりするの?」と僕は心配した。

「それがね、裸足になって機械に足を乗せるだけですぐわかってビックリ。痛くもなんともないんだよ。」
それなら僕もやってみたいって思った。

「骨密度測定というのよ。」 お母さんが説明してくれた。

「骨密度は授業でも聞いた。骨量ともいうんだよね。骨のカルシウム量と習ったよ。」

「そう、かかとに超音波を当てて通るスピードでカルシウム量がわかるの。正確に調べるには全身のレントゲン写真を撮って調べるんだけど、かかとを調べれば目安になるの。」

「じゃ、おばあちゃんの結果を見る前に、骨について復習ネ。骨は何個あるでしょう?」

「100個くらいかね」とおばあちゃん。

「もっと多いかな?」

「答えは約206個。人によってそれより少ない人も多い人もいるのですって。その骨の働きは主に4つ。」
「体にあるカルシウムは男性で約1Kg、女性は700~800gあって、そのうちの98%が骨にあるの。」

「だから貯蔵庫なんだネ。」

「そうなの。貯金箱にお金がたまると重くなるでしょ。そしてすき間は無くなってくる。骨も同じ、カルシウムが詰まることによって、重くなるし丈夫で折れにくい骨になるのよ。」

話してたら、また喉が渇いてきた。そこへお母さんがティーカップを3つ運んできた。

「おばあちゃん、どうぞ。お母さん特製、甘酒ミルク!」

「甘酒大好き!子どもの頃は苦手だったけど、体があったまるし、近頃人気が出ているらしいね。おや、牛乳ともとっても合うよ。」

「初詣で神社で飲んだことあるけど、うん、牛乳と一緒の方が飲みやすいよ。」

「おばあちゃんのには隠し味でしょうが汁入れたの。お母さんはシナモン。元気もシナモン入れてみる? あら、そろそろ夕飯の支度をしなくちゃ。ご飯食べてから、結果を見ましょう。」

※このテーマは次回に続きます。お楽しみに。

管理栄養士のお母さんから

骨粗しょう症については、こちらのページでも解説しています

骨密度の測定

骨密度はこのように機械に足を乗せるだけで測定できます。
  • ※測定器の一例です
管理栄養士・消費生活アドバイザー・フードコーディネーター 加藤明子
牛乳・乳製品の相談業務を平成6年より担当し、食育授業、料理講習会、勉強会等で講師を務めている。近年は小中学校における食育授業、学校栄養職員、教諭、PTA等の研修や講習会、大学での授業、フードコーディネーター養成講座の講師など、東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に活動している。