第十二話 おばあちゃんのカルシウムアップ大作戦 その2

元気くん一家のミラクルミルクライフ

日本初! 食育小説「元気くん一家のミラクル ミルク ライフ」の第12回です。

前回に続き、骨粗しょう症に気を付けたいおばあちゃんへのアドバイスです。骨密度を測定した結果の見方は

第十二話 おばあちゃんのカルシウムアップ大作戦 その2

 あ、なんかいいニオイ、今日の晩ご飯は何かなぁ・・・なんて思っていたら
「ご飯できましたよ」とお母さん。「今日のメインはチーズ麻婆豆腐」と大きな深いお皿。

「わぁ、一面チーズの海みたいだね。でも、おばあちゃんには辛くないかな?」
「元ちゃん、優しいね。ありがとう。さあ、いただこうかね。」
「はい、いただきます」

「どう?前にミルク麻婆豆腐作ったの覚えている?愛も食べられたでしょ。牛乳やチーズは辛味をマイルドにしてくれるのよ。ちょっと作り過ぎたかな。お父さんの分は別にしてあるから、いっぱい食べていいわよ。」

「やったぁ!うん、トロトロチーズがうまい。」

「レタスで巻いて食べてみて。」おばあちゃんも美味しそうに食べています。

「おかあさん、残ったらドリア風にして明日の朝、食べたいな。」

おばあちゃんの骨密度結果

 3人で仲良く後片付けをすませて、結果を見ます。
「検査結果の説明を聞いたんだけど、良いのか悪いのかよくわからなくてね。」

「今回、おばあちゃんが検査をしたのは、かかとに超音波を当てて測る簡単にできる方法なの。正確な診断は整形外科できちんと調べてもらわないといけないのよ。これはあくまでも目安と考えてネ。」

「わかりました。お母さん先生!」と僕はちょっとおどけて見せた。

「では、先ずグラフを見てみましょう。」
(結果の一例です)

「赤い印が測定結果、曲線の実線のほぼ上にあるでしょう。この線が女性の骨密度の平均値のライン。おばあちゃんの結果に書いてある101%という数字は同年齢の人の平均値と比較した数値よ。結果の説明のところにも『同年齢の人と同等』とかかれているでしょ。」

「じゃ、平均点取れてよかったんだね。」
「でも、もう一つ数字があるんだよ。82%だって。」とおばあちゃん。

「若年成人時、つまり若い時20 - 44歳の骨密度が高い時期の平均値に対して、今どのくらいの骨密度があるかということ。緑のところに印があれば、よい結果。点線と直線の間の黄色は平均値の80-90%で骨密度が低かったので注意しましょう。赤いところは年配の人では骨粗しょう症が疑われるの。」

「おばあちゃん、ギリギリだったんだネ。年齢相応だけど、若い時に比べて減っちゃっているということだね。体操も散歩も頑張って続けているんだけどね。」

僕もわかったけど、おばあちゃんになんて言ってあげればいいのか困った。

「年齢と共に骨密度が減っていくのは自然なことなのよ。これ以上下がらないように気を付けていくこと、それと骨折しないようにするには転ばないこと。」

「頑張るよ。骨折して寝たきりなんてことになりたくないからね。」

「僕も応援するよ。」

女性の方が骨粗しょう症になりやすい

「ところでお母さんの骨密度はどうなの?測ったことあるんでしょ?」と聞いてみた。

「エヘン、お母さんは若年成人時の平均値と比較して118%です。」
「すごい!」おばあちゃんと同時に褒めた。

「小中学校の時に給食でも家でも牛乳しっかり飲んでいたし、部活でバレーボールをしていたから、成長期に丈夫な骨ができたんだと思うわ。」

「おばあちゃんが子どもの時は給食無かったからね。」
「え~、そうだったの?給食が無いなんて学校行く楽しみが減っちゃうよ。」
2人で顔を見合わせて大笑い。そこまで笑わなくても・・・。

「元気は中学生の今が一番骨にカルシウムの貯金ができる時だけど、女の子の方が骨の成長が早くて、愛は小学校高学年の今から中学生までが一番貯金ができるの。骨粗しょう症の予防は成長期の骨作りから始まるのよ。成長期に平均値+20%、120%まで高めておくと安心なの。」

「家族みんなで骨粗しょう症予防だネ。」

「そう、お母さんもこれから、女性ホルモンが減って骨密度が大きく下がる閉経の時期に入っていくからね。」

「今回、自分の骨密度がわかってよかったよ。」とおばあちゃん。

「ええ、女性は骨密度が平均値の人は50代で閉経を迎えると骨粗しょう症が危ないところに入って、70~80代で骨粗しょう症になってしまうくらい、リスクが高いのよ。」

「皆が骨密度測るといいよね。」

「そうなの。若い時に一度は測って自分の骨密度を知っておくといいわね。」

※このテーマは次回に続きます。お楽しみに。

管理栄養士のお母さんから

骨粗しょう症については、こちらのページでも解説しています

「骨粗しょう症の年齢別発症率」の画像はこちらのページからダウンロードできます。
食育指導サポーター/歯・骨関連
管理栄養士・消費生活アドバイザー・フードコーディネーター 加藤明子
牛乳・乳製品の相談業務を平成6年より担当し、食育授業、料理講習会、勉強会等で講師を務めている。近年は小中学校における食育授業、学校栄養職員、教諭、PTA等の研修や講習会、大学での授業、フードコーディネーター養成講座の講師など、東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に活動している。