現実的対応が進むニュージーランドの気候変動対策(酪農乳業関連)
ニュージーランド(NZ)において、農林水産物・食料品セクターは、輸出全体の約7割を占める最大の基幹産業である。2025/26年度の農産物輸出額は過去最高の約643億NZドルを見込んでおり、政府は2034年までに輸出額を倍増させる目標を掲げている。その中核を担うのが酪農乳業であり、NZは世界有数の乳製品輸出国である。しかしその一方で、NZは「温室効果ガス(GHG)総排出量の半分程度を農業分野が占める」という先進国の中でも極めて特異な排出構造を有している。特に、反芻家畜の消化管由来の生物由来メタン排出(総排出量の約91%)および家畜の排泄物や窒素肥料由来の亜酸化窒素排出(総排出量の約93%)が国全体のGHG総排出量の半分を占めており、酪農政策は気候変動対策の「本丸」となっている。こうした中、現在NZでは、「分割ガス(Split Gas)アプローチ」の採用、農業排出の価格付け(課金)を見送る政策転換、さらには技術主導による排出削減モデルを中心に、酪農現場に即した現実的な対応が進んでいる。本稿では、2026年11月にオークランドで開催される「IDF* World Dairy Summit 2026」を見据え、NZのGHG排出削減モデルの現状と世界の酪農乳業界に与える影響を考察する。
*International Dairy Federation
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