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体をつくるたんぱく質

たんぱく質は、水分を除くと体の各組織では一番多く、筋肉や内臓、歯・骨や皮膚、毛髪、脳や血管などのさまざまな細胞・組織をつくる材料になります。また、食べ物を消化する酵素やエネルギーをつくる酵素、さらに細菌や病原体から体を守る免疫細胞、酸素を運ぶ赤血球、神経細胞、ホルモンなどをつくる材料にもなる、生命活動に欠かせない大切な栄養素です。
たんぱく質は、20種類のL型アミノ酸がペプチド結合したもの(ポリペプチド)で、アミノ酸の組み合わせにより10万種類ほどあります。生体はたんぱく質をアミノ酸に分解して利用しています。体内に吸収されたアミノ酸は、代謝してエネルギー源になるほか、肝臓や細胞内で体のそれぞれの組織に必要なたんぱく質に再合成されます。
20種類のアミノ酸のうち、トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジンの9種類※1は人間の体内で合成することができないため、必ず食物から摂取しなければなりません。
この9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。必須アミノ酸のうち1種類でも欠けると、たんぱく質の合成はできなくなるといわれています。

牛乳のたんぱく質は良質

牛乳のたんぱく質は200mLあたり6.8gで、約80%はカゼインです。必須アミノ酸をバランス良く含み、コップ2杯分で1日に必要な必須アミノ酸量を摂取できます。
必須アミノ酸のどれか1つでも摂取量が少ない場合、体内では最も少ない必須アミノ酸の量までしか利用されません。したがって、アミノ酸スコア※2が100に近い良質なたんぱく質を摂ることが重要です[図2-16]。
牛乳のたんぱく質は必須アミノ酸の含有バランスが良く、卵に次いで良質といわれています。特に日本人は米やパンが主食であるため、必須アミノ酸のリジンが不足しがちです。リジンは魚のアジにも多く含まれますが、毎日の食事を考えると主食のリジン不足を補うには牛乳が最適です。
近年の研究では、健康に役立つ次のような機能性成分が牛乳のたんぱく質に含まれていることが明らかになってきました。

カゼインホスホペプチド(CPP)

カゼインが消化される過程で生成され、小腸下部でのカルシウムの吸収を助けます。牛乳のカルシウムの消化吸収率が高い一因と考えられています。

ラクトフェリン(LF)

鉄の吸収を調節する働きがあり、貧血の予防改善作用が認められています。また、細菌の増殖を抑え、免疫力を高める効果があることも分かりました。胃内のペプシンで分解されると、より高い抗菌性のラクトフェリシンを生成します。

※1 必須アミノ酸は、乳幼児に必要なアルギニンを含めて10種類といわれることもある
※2 アミノ酸スコアとは、たんぱく質の栄養価を表す数値。
食品に含まれるアミノ酸の量が、体づくりに必要なたんぱく質を合成するときの理想のアミノ酸構成をどれくらい満たしているかで算出する。アミノ酸スコアが100に近いほど、たんぱく質の栄養価は高く、良質であるといえる

図2-16 | 牛乳・鶏卵・精白米のアミノ酸スコア
牛乳・鶏卵・精白米のアミノ酸スコア