「続・免疫力を高める 3」を掲載しました(2020年5月6日)

続・免疫力を高める 3

2020年5月6日

「貯筋」と「貯骨」を支えるビタミンD

 たんぱく質とカルシウムの大切さ、これらを蓄える「貯筋」と「貯骨」に続き、「貯筋」と「貯骨」に重要な役割を担っているビタミンDについてお伝えしたいと思います。

 「貯骨」については、ビタミンDが小腸の細胞に働き掛け、カルシウムの吸収を高めるカルシウム結合タンパク質(CaBP)の発現を促進します。

 「貯筋」については、血中のビタミンD濃度が低い人ほど筋肉量や筋力が低いことが、最近の研究で明らかになっています(Visser et al. J Clin Endo Metab 88:5766, 2003)。

 また、このビタミンDの摂取状況を調べる調査研究では、なんと日本人の81%がビタミンD不足(血中ビタミンD濃度が30ng/ml以下)であることが明らかになりました(日本人のコホート研究 ROAD study 2013)。

 それでは、ビタミンDはどのようにしてとればよいのでしょう。ビタミンDは、食事から栄養としてとる以外に、日光(紫外線)を皮膚に浴びることで体内でも作られます。近年、紫外線による日焼けを避けるため、日焼け止めを塗ったり、肌を隠したりする人が、特に若い女性に多く見られます。こうしたことがビタミンD不足の大きな原因になっている可能性があります。くれぐれも、カルシウムが特に必要な育ち盛りの赤ちゃんや子どもたちには、必要以上の日焼け止めを塗ることは避けてください。

 また、食べ物では、鮭、卵や、シイタケなどきのこ類に多く含まれています。牛乳にも含まれていますが、十分とはいえませんので、他の食材からも補うようにしてください。欧米の多くの国々では、通常の牛乳にもビタミンDが添加されているものが多く見られます。それほど、ビタミンDの摂取不足を深刻に受け止めています。

 牛乳は、たんぱく質とカルシウムが豊富に含まれていますので、「貯筋」や「貯骨」を実践するためには、ビタミンDととても相性が良い食品といえるでしょう。外出自粛により、屋外で日光を浴びる機会が減っていますので、「三密」に気を付けながら、天気の良い日は少しでも外に出て日光を浴び、ビタミンD不足に備えましょう。もちろん、帰ったら、1杯の牛乳も忘れずに!

 詳しく知りたい方は、下記から「ビタミンDの『新しい役割』」をご覧ください。
https://www.j-milk.jp/report/media/f13cn00000000v4s-att/berohe000000k1yr.pdf
 また、Jミルクウェブサイト「ミルクレシピ」では、ビタミンDを多く含む鮭や卵、きのこ類などを使った多彩なレシピを紹介しています。
https://www.j-milk.jp/recipes/index.html

  • 牛乳・乳製品とともに「貯筋」や「貯骨」を助けてくれるビタミンDは、鮭や卵、きのこ類などに多く含まれています(写真はミルクレシピの一つ「サーモンのミルクリゾット」レシピはこちら→サーモンのミルクリゾット

続・免疫力を高める 2

2020年5月5日

改めて、カルシウムの大切さ

 今回は、カルシウムについてお伝えします。
 カルシウムは骨を作るために必要な栄養と思われがちですが、実は、カルシウムは私たちの身体を構成している、60兆個にも及ぶ細胞の「情報伝達機構」で中心的な役割を演じており、生命の根源に関わる現象に深く関与しています。

  だからこそ、人間は、大切なカルシウムをいつでも使えるように、骨の中に貯蔵するシステムを進化させてきました。血液中のカルシウム量は厳密に調整されています。食事からとるカルシウムで足りていれば、骨からカルシウムを動員する必要はないので骨は保持されます。骨は常に、壊しては作り、作っては壊し…を繰り返しています。しかし、年をとると壊す方が上回ってしまうので、骨がスカスカになる、いわゆる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」になってしまいます。

  そうならないためには、骨にカルシウムをためこむ「貯骨」が必要ですが、筋肉の「貯筋」と違って、「貯骨」の機能が年をとると衰えてしまいますので、いかに「貯骨」を取り崩さないような生活をするかが重要です。それには、日々消費される分を補う十分な量のカルシウムをとることが必要でなってきます。
 
カルシウムをとる上で、牛乳・乳製品の利用は、手軽で効率的な補給につながります。一食分に含まれるカルシウム量が他の食材に比べて多く、たんぱく質の働きも加わることで、カルシウムの吸収率も高いことが分かっています。
 
 また、カルシウムは、免疫機能にも深く関わっており、イライラを鎮める鎮静作用があるとの研究もあります。
外出自粛でストレスがたまりがちになる中、十分なカルシウムをとって、この難局をみんなで乗り切りましょう。
詳しく知りたい方は、Jミルクのファクトブック「カルシウムのすべて」をご覧ください。

カルシウムのすべて https://www.j-milk.jp/report/study/hn0mvm00000092vs.html
  • カルシウムは、私たちの生命の根源に関わる現象に深く関与しています(写真はイメージです)

続・免疫力を高める 1

2020年4月27日

免疫力を高める生活習慣とは?

 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、自宅での“巣ごもり”生活を余儀なくされ、そろそろストレスがたまってきたという方も多いと思います。
これまで、新型コロナウイルスに備えて、感染予防あるいは重症化を防ぐために、免疫力を高めておくことが重要であることをお伝えしてきました。
特に、「体内時計」のリズムを崩さないように規則正しい生活リズムを保持すること、「低栄養」に陥らないように栄養バランスの良い食事を心掛けること、中でも、免疫システムに影響を及ぼす「腸内環境」を良好に保つ食事、発酵食品、ヨーグルト、食物繊維などを取り入れること、また、免疫力に大きく影響する精神的ストレスを緩和するため、積極的に「笑い」を心掛けることなどです。
 免疫学の権威である順天堂大学医学部特任教授、奥村康先生の『「不良」長寿のすすめ』(宝島社新書)は、免疫力を高める生活習慣として、次の7つを提案されています。
  1. 食事は何でもほどよく食べる
  2.  運動はチンタラやる
  3.  いつも能天気に構える
  4.  1日1回「わはは」と大笑いするように心がける
  5.  仲間を大事にする
  6.  異性に心ときめく
  7.  夜遊びはしない
先行きが見通せない中、少しでもこうした生活習慣が実現できるよう、我慢強く頑張りましょう。

低栄養を防ぎ「貯筋」を心掛けよう

 今回の新型コロナウイルス感染では、特に高齢者の方が重症化しやすいことが分かっています。この背景には、高齢者の「低栄養」による免疫力の低下が疑われます。栄養バランスの良い食事を心掛けて、できれば10品目とっていただきたいこと、特に、たんぱく質は多めにとっていただきたいことをお伝えしましたが、改めて、たんぱく質をとることの大切さについて考えみたいと思います。
 私たちの身体にとって特に重要な栄養素として、アミノ酸とカルシウムが挙げられます。これらの栄養素が枯渇すると生きていけなくなりますので、人間は、これらの栄養素を身体の中に蓄えるシステムを進化させてきました。すなわち、アミノ酸の貯蔵庫が「筋肉」であり、カルシウムの貯蔵庫が「骨」になります。私たちはたんぱく質を消化してアミノ酸の形で吸収します。このアミノ酸がさまざまなタンパク質として再合成され身体の中で機能します。加齢や病気でたんぱく質が不足すると、真っ先に筋肉のアミノ酸が使われるので、やせ細ってしまいます。やせ細った最後の状態が「寝たきり」となるわけです。
こうした状況にならないために、日頃から、アミノ酸を筋肉にため込む「貯筋」が必要です。幸い、骨と違って、加齢とともに多少効率は落ちますが筋肉はいくつになっても作ることができます。
 適度に運動し、食事を通して十分なたんぱく質をとることで、老後の貯えとして「貯筋」を増やしておきましょう。
詳しく知りたい方は、Jミルクのファクトブック「乳たんぱく質のすべて」をご覧ください。
  • 免疫力低下を防ぐには、低栄養にならないよう心掛けることも大切(写真はイメージです)

免疫力を高める 6

乳酸菌利用食品の代表、ヨーグルト

2020年4月22日

 免疫力を高め、健康な身体をつくるために、腸内環境を整えるにはどうしたらよいのでしょうか?
 腸内環境を整える食品として、今回は「ヨーグルト」と「食物繊維の多い食品」について紹介します。
 ヨーグルトは、乳酸菌利用食品の代表です。牛乳に含まれる豊かな栄養(たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、カルシウムなど)を乳酸菌の力で発酵させて、より吸収しやすくなっています。ヨーグルトの乳酸菌や乳酸菌が作る乳酸などは、腸内の善玉菌を増やし良好な腸内環境をつくるのに役立ちます。様々な種類のヨーグルトがありますが、自分の体に合ったものを選び、毎日とり続けることが大切です。

 食物繊維の多い食品は多数ありますが、穀物、豆類、セロリ、さつまいも、ごぼうなどに多い不溶性食物繊維は便のかさを増やし、便秘解消に役立ちます。また、こんにゃく、海藻、きのこ類などに多い水溶性食物繊維は腸内で善玉菌を増やし、血中コレステロールを低下させ、食後血糖値の上昇を抑えます。
 野菜を効率良く摂取するには、生野菜サラダではかさが多いので、煮物やお浸しなど火を通して、かさを減らすとたくさん食べられます。ごはんは精米度が高くなると食物繊維は減少するので、麦や玄米・雑穀米を混ぜて炊くなど工夫することがおすすめです。
 牛乳に含まれる乳糖は、ビフィズス菌や乳酸菌のエサになりますので、腸内環境を整えるのに役立ちます。

参考レシピ【彩りヨーグルトサラダ】
https://www.j-milk.jp/recipes/recipe/8d863s00000447fj.html

参考レシピ【根っこ野菜のクリームシチュー】
https://www.j-milk.jp/recipes/recipe/8d863s000006vtnu.html
  • 免疫力を高めるには、腸内環境。腸内環境を整える食品として代表的なのがヨーグルトです

免疫力を高める 5

腸内環境と免疫力の関係

2020年4月20日

 腸は、栄養の吸収や排せつに関わるだけでなく、身体の免疫細胞の約7割が集中する免疫器官でもあります。この腸に共生する「腸内細菌」が免疫細胞に働きかけ、全身の免疫システムに大きく影響を及ぼしていることが最近の研究で明らかになってきました。つまり、健康な体には「腸内環境を整える」ことが大切なのです。
 では、腸内環境を整えるにはどうしたらよいのでしょうか?
 腸内環境を整える3つの食品として「発酵食品」「ヨーグルト」「食物繊維の多い食品」が一般的に挙げられます。まずは発酵食品「みそ」について紹介します。
 米みそ、麦みそ、豆みそなどの種類がありますが、大豆を使う点では共通。発酵という微生物の働きが加わることによって、消化吸収しやすい形になって栄養価も高まります。みそ汁は煮立ててしまうと乳酸菌や酵母菌が死滅してしまうだけでなく、風味が落ちてしまいます。煮立つ直前に火を止めることが大切です。
 「乳和食」の中に「ミルクみそ汁」があります。みそを通常の半分の量にして牛乳を加えた「ミルクみそ」を使ったみそ汁は、うまみを落とすことなく減塩ができ、乳たんぱく質もとれ、風味も牛乳が入っていることが分からないので、和食本来の風味を損なうことがありません。
 作り方は、あらかじめみそと牛乳をあわせて、出汁をとって具材を煮立たせた最後に火を止めて、ミルクみそを加えるのがポイントです。
「ヨーグルト」「食物繊維の多い食品」については次回に触れます。

【乳和食レシピ集】https://www.j-milk.jp/nyuwashoku/
  • みそを抑えて牛乳を加えたみそ汁は、うまみを落とすことなく減塩ができ、乳たんぱく質もとれ、かつ、和食本来の風味を損なうことがありません

免疫力を高める 4

免疫力を高める「笑い」

2020年4月17日

「人に会うことがなくなった」「何となく気分がさえない」「職場環境が大きく変わった」「毎日、何を食べればいいのか分からない」……こうしたことを意識するようになっていませんか?
新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛などで生活環境が激変すると、ストレスも積み重なりやすくなっていきます。
免疫システムを担う免疫細胞の元気さは、精神的な影響を受けやすいとされています。例えば、体中を循環してパトロールし、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を見つけだして破壊するNK細胞の元気さは、お笑い番組などを見た後では上昇し、ホラー映画など恐怖を感じた後では低下することが知られています。
家に閉じこもりがちで、コミュニケーションも制限され、暗いニュースばかりでは、ストレスもたまって、免疫力も低下することが考えられます。こういう時こそ、楽しいテレビを見たり音楽を聴いたりする、あるいはSNSで積極的にコミュニケーションをとるなど、少しでも精神的に落ち込まないように工夫することが大切です。
栄養バランスの良い食事をとり、適度な運動習慣で筋肉を維持することに加え、笑いや会話で精神面でも健康を保って、元気に暮らしましょう。
新型コロナウイルス感染症では、お茶の間にたくさんの笑いを届け続けた国民的コメディアン、志村けんさんがお亡くなりになりました。改めて、ご冥福を、心よりお祈りいたします。

【Jミルク「免疫力パワーアップ—乳の知識」】https://www.j-milk.jp/knowledge/healthcare/hn0mvm0000005vcz.html
  • 笑うことは免疫力の低下を防ぐ観点からも大切(写真はイメージです)

免疫力を高める 3

そもそも免疫力って?

2020年4月15日

私たちの体に備わっている免疫システムには、大きく分けて二つの仕組みがあります。
一つは、ウイルスや細菌などの体への侵入を最前線で食い止める「自然免疫」という仕組み。二つめは、相手の性質を見極めてピンポイントで攻撃する「適応免疫」という仕組みです。
自然免疫で活躍する免疫細胞には、「貪食細胞(マクロファージ)」や「NK(ナチュラル・キラー)細胞」などがあり、侵入してきた外敵を最前線で防ぎます。この防衛線が破られて体内に外敵が広がると「感染」ということになってしまいます。
こうなると次の攻撃は、適応免疫に頼るしかありません。この適応免疫を担うのが、T細胞やB細胞といわれるリンパ球になります。しかし、外敵の情報を調べるのに時間がかかりますので、飛び道具である「抗体」ができるまでには1~2週間かかるといわれています。
この二つの免疫システムを強化しておくことが、免疫力を高めることにつながります。免疫力を高めておくことによって、たとえ自然免疫の最前線を破られたとしても、適応免疫が素早く動き出すことで、重症化が防げたりするのです。
まず、栄養バランスの良い食事は免疫力の低下を防ぎます。たんぱく質は、免疫細胞を作るもとになるばかりでなく、鼻やのどの粘膜を作るもとになります。牛乳・乳製品は手軽にたんぱく質をとるのに便利ですし、豆腐や魚、肉を入れた温かいお鍋は、体も温まりおすすめです。ビタミンAやビタミンCは粘膜の保護機能や免疫力を高める効果があるので、緑黄色野菜や果実を積極的にとりましょう。また、バターにはビタミンAが豊富に含まれています。
  • バターにはタンパク質とともに、ビタミンAも豊富に含まれています(写真はイメージです)

免疫力を高める 2

在宅生活中も「低栄養」にご注意!

2020年4月13日

 若い世代や現役世代の肥満が問題になる一方で、お年寄りの低栄養が増えています。「油や動物性脂肪のとりすぎに注意」という呼び掛けが行きすぎた影響もあるようです。
 年々、食事量が落ちているのに、いつもごはんと漬物や納豆などだけで済ませていると、低栄養で体力・免疫力が低下することになります。あなたは大丈夫ですか?
 低栄養が続くと、免疫力が低下するばかりでなく、筋肉が減少する「サルコペニア」といわれる状態になり、出かけるのがおっくうになります。こうなるとさらに食欲が落ち、低栄養が加速して、いわゆる「フレイル(虚弱)」状態となり、やがて寝たきりになってしまいます。
 こうした状態にならないために、栄養をバランス良くとることが必要です。以下の10品目を、バランス良く食べましょう。

1.魚介類
2.肉類
3.大豆や大豆製品
4.牛乳・乳製品
5.油脂
6.果実
7.いも
8.緑黄色野菜
9.海藻
10.卵

また、運動を習慣づけることも大切です。最近の研究で、筋肉は体を動かすためだけの組織ではなく、私たちの体の働きに重要な物質を分泌し、健康を支えていることが分かってきました。いつまでも健康な体を維持するには筋肉を維持して、動かすことが大切です。筋肉は、骨と違っていくつになっても作ることができます。
  • バランス良い食事で低栄養を防ごう(写真はイメージです)

免疫力を高める 1

在宅生活で大切な朝ごはん

2020年4月10日

 人間には1日周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっており、意識しなくても昼間は活動状態に、夜間は休息状態に切り替わります。体内時計の中心は脳に存在しますが、実は身体のあらゆる臓器にも体内時計があり、脳からの指令でリズムを刻んでいます。
 外出自粛などで家に閉じこもりがちになると、この体内時計が乱れ、身体に変調をきたします。免疫力も大きな影響を受けます。体内時計は朝の光によってリセットされますが、食事によってもリセットできることが分かってきました。
 生活リズムを整え、健康を維持する大切な習慣として、「朝ごはん」を見直してみましょう。

朝ごはんが大切なわけには、次の4つが挙げられます。

1. 決まった時間にとることで1日の生活リズムが整う。
2. 脳の働きを活発にし、集中力や記憶力が高まる。
3. 体温が上昇し、代謝が高まる。
4. 食べることで腸が動き出し、排便の習慣がつきやすい。
 
 朝は「何を食べるか」より「とにかく食べること」が肝心です。食欲がない時でもとりあえず、おかゆや小さなおにぎりだけでも食べてエネルギーを補給しましょう。また、時間があれば、食事の前に軽く散歩するなど工夫してみましょう。パンにチーズをのせる、コーンフレークに牛乳をかける、バナナとヨーグルトを和えるなど、乳製品を組み合わせることもおすすめです。もちろん早寝早起きも大切です。
  • 家にこもりがちのとき、特に朝食は大切(写真はイメージです)